フォトグラファー宍戸眞一郎のブログサイトです。

投稿者: Shinichiro (page 1 of 2)

甦るclassic Porsche

Classic Porsche full restoration

国内で最初にポルシェのインポーターとして活動を開始したミツワ自動車の雑誌広告制作に携ったのでポルシェの種々車種やその整備状況の現場で取材及び撮影をする機会を得た。僕にとってこの仕事に拘ったのは幾つかの経緯がある。話せば長くなるのでいくつかの偶然とだけしておこう。

国内での外国車のインポート、昔はメーカー本社と協議し国内での販売権を獲得した企業が行なっていたが、最近では海外のメーカーがそれぞれの国に自社直轄の販売拠点を置き管理するようになったので国内資本の大手インポーターはその多くが消失した。また世界中の車メーカーが合併や吸収、提携など盛んに行い、一昔前とは様変わりしている。ミツワ自動車もその流れの中で空冷ポルシェを中心に販売とメンテナンスを行うMIZWA classicを立ち上げた。

甦るclassic Porscheとタイトルしたが、昨今は化石燃料から電気エネルギーに移行とか言われ車も家電商品化進行中で、この先暫くで様変わりするかも知れない。個人的には永らく続いた化石燃料使用の内燃機関はエネルギーの全体的な状況を見れば、そう簡単に移行できるとも思わないが・・・。

車のデザインも大きく変化してきた。使用素材の変化と生産コストの削減、何より人の手から離れロボットの作業場と化したメーカー工場で作られる車は家電商品と同じく売れ筋のコストパフォーマンスの高い??単なるトランスポーターと化し、どれも皆似た様なフォルムとデザインになり以前と比べると肥大化してしまった。独特の形と無駄のない締まったフォルムを持ち個性的な雰囲気を醸す車はかなりの少数派と言えよう。車に高い趣味性を求め自らの感覚と感性にあったフォルムとデザイン、そしてその個性的な走行感覚と永く付き合える車を今日求めようとすれば時間を遡って探す事になる場合が多く、運よく出会っても相当手を入れないと本来の性能を発揮し走ることが不可能な車も多い。

それはPorscheに限った事ではなく国産車や欧米車も同様で、まさに愛すべき往年の車は数こそ少ないが再生修理作業が世界中で行われている。(金銭的余裕とかなりの時間が必要だが)MIZWA classicも往年のPorscheを扱う拠点の一つだ。
下のスライドショーはオーバーホールやレストア作業の数ショットから組み立てました。ご覧下さい。

  • エンジンパーツ洗浄
    分解したエンジンパーツの洗浄
  • 新品のクランクシャフト取付
    Flat-6 新品のクランクシャフト取付
  • クランクケース組立
    Flat-6 クランクケース組立
  • 組み上がったFlat-6
    オーバーホール後に組み上がったFlat-6
  • 356ゼニスキャブ オーバーホールと調整
    356ゼニスキャブ オーバーホールと調整
  • ボッシュ メカニカルポンプ
    ボッシュ メカニカルポンプの分解修理
  • バルブあたり調整
    シリンダーヘッドのバルブあたり調整
  • 回転計の組み付け
    オーバーホール済み回転計の組み付け
  • 古いアンダーコート剥離
    ボディパネル裏側の古いアンダーコート剥離
  • 911ナローの天井張替え
    911ナローの天井張替え
  • 全塗装作業
    911ナロー 塗装ブースにて全塗装作業

最近の車は使用素材が変化したと書いたが、樹脂(プラスチック)素材の一体モールドパーツが多く使用されている。布や革、レザーなど内装材は張替えが効くが樹脂モールドパーツなどは故障や劣化したら廃棄しかない。90年代やそれ以前の頃までの車は重要な部分に樹脂パーツをあまり使用していない。また使用している鋼板も鈑金修復作業可能だ。要はある意味長持ちする様に造られていたと言うべきか。半世紀前に製造された車でもその気になれば修復、レストアが可能だ・・・。

Air-cooled flat-6

上の写真はオーバーホール途中の911エンジン、空冷水平対向6気筒、これが車の後部フロアレベルの位置にに搭載されている。メンテナンス時も車をリフトアップし下え降ろす様に取り出す。ポルシェは非常に低重心である理由はボディ設計にもよるがこのフラット6の形状とその取付位置による処が大きい。

下の写真はウェーバー ダウンドラフト トリプルチョーク キャブレター。随分と使い込まれている様子がエアファンネルの色味などから判るが、しっかり調整済みである。(エアクリナーなど外してある)アクセルペダルを軽く踏めば空気を吸い込む吸気音と共にフラット6は瞬時に吹け上がる。生き物のようなキャブレターを好むポルシェフリークも多い。

Weber downdraft carburetors

大阿原湿原の季節

朝の大阿原湿原

朝の湿原 2020年8月

大阿原湿原は長野県富士見町の入笠山近くにあり、「テイ沢の源流にある本州最南端の高層湿原で、面積約12ha標高1.618m、3億年前に形成され湿原から草原へと移行しつつあり湿原としては老年期の湿原」とガイドにあります。中心部に水の流れがありますが見渡しは草原のようで季節により様々な色あいの表情を見せてくれます。木道もよく整備されグルリと一周するにもそれほど時間がかからず、途中までなら車椅子で行く事もできます。

湿原専門に写真を撮っている訳ではないが、一度訪れたらその広がりの規模と様々な植生が見せる表情と色合い、ディテールの魅力、場所により異なる景色に惹かれて幾度か訪れているので撮影した写真を載せていきます。

大阿原湿原駐車場より写真

9月 早朝の湿原、駐車場より a7rⅢ FE 4/24-105G

大阿原湿原 11月

11月の湿原 NIKON D800E

大阿原湿原、朝霧

9月 早朝の湿原 a7rⅢ FE 4/24-105G

5月の湿原 NIKON D800E Distagon21mm

9月 大阿原湿原の朝霧

9月 湿原の朝霧 a7rⅢ FE 4/24-105G

5月の湿原 NIKON D800E Distagon 21mm

大阿原湿原 11月の雪

11月の湿原 Canon 5DⅡ EF24-70mm

大阿原湿原は標高1,600mにあるので緑で輝く季節は以外に短く、5月と11月に撮影した上の写真4点は少々寂しい色あいになっていますが、この微妙な色合いの重なりと植生の織りなす独特なディテールがこの湿原の魅力でもあると思います。7月から8月にかけて周りの森の深い緑と湿原の明るい緑と黄緑のコントラストのある景色が楽しめます。9月半ば過ぎには少し紅葉が入り美しく微妙な色合いを見せ、晴れた日の早朝には湿原の上に霧が現れる事もあります。大阿原湿原は規模もそれ程大きくなく湿原としての知名度はそれほど高くないと思います。そのせいかハイカーや観光客を多く見かける事もなく、季節外れに訪れると殆ど人に会う事もなくゆっくりと観察出来るところも気に入っています。富士見町から入笠山を目指せば車で湿原の駐車場まで行く事が出来ます。(季節によりマイカーの時間規制が行われています。早朝に行くのがベストです。)湿原各所で季節の織りなす色合いとディテールを下のスライドショーで紹介します。

最近はスマフォカメラも進化してかなりしっかりした画像として旅の記憶を記録するのも可能ですが、こと風景写真となると簡単に撮れてしまう事とかなりの広角レンズなので景色を切り取るのが難しいこともあり、(最新のiPhoneではやや望遠系のレンズ搭載のモデルも存在しますが)見た時に感じた感動やそこにあった空気感、温度や湿度、時の流れの一瞬の姿など一枚の写真に収めることはなかなか難しい事です。もちろん高性能なカメラでも同様ですが、3億年の年月を経て今日の表情を見せる大阿原湿原は今でもゆっくりと季節や時間でその表情を変化させています。撮影する前に良く観察し対峙すると、時々自然の方から何か語りかけてくるような気がする時があります。それに応えられるような写真が撮りたいと思っています。

尚、このページに掲載の写真は撮影した大阿原湿原写真の一部です。自身のWebサイトに湿原のページがあります。ご覧下さい。

大阿原湿原 5月の白樺とシダ

湿原 2005年9月 Canon 1Ds MarkⅡ 24-70mm

 

SONYのリモートコマンダー延長ケーブル

ソニー製カメラ用レリーズ三種類の写真

SONYリモートコマンダー三種

SONYのα7シリーズカメラを使い始めてから三個のリモートコマンダーを所持しています。本来は確実に動作するシャッターレリーズが一個あれば事足りる訳が、なぜ三個になったか、また改造の理由など書いて行きます。

上の写真一番左が最初購入したRMT-DSLR2でテレビのリモコンなどと同じで赤外線通信なのでカメラの受光部に向けて操作する方式です。α7シリーズカメラの受光部は左の写真のようにグリップ部にあるのでカメラ後方からの操作には反応しません。自撮りや記念写真には使えても撮影の仕事ではシャッターレリーズもムービーのスタート、ストップも確実性がなく使いずらいので最近は使っていません。操作ボタンも多く多機能なようだがシャッターレリーズとして考えるとアマチュア向けの玩具のように感じる。

次に購入したのが写真中央のRM-VPR1で、これはSONY独自のマルチ端子につなげて使うリモートコマンダー。赤外線通信や無線通信ではなく直接電気的に繋がるので操作の確実性は担保される。使い始めるとケーブルが80センチあり三脚等にカメラ固定した場合、個人的にはブラブラと長すぎ邪魔になる。(三脚のパン棒に取り付け本体を差し込めるフォルダーが付属するがパン棒のないボール型自由雲台などでは使えない)カメラに差し込みそのままブラ下げて使うには30~40センチのケーブルがちょうど良い。

また、個人的にカメラから数メートル離れた場所で操作したい事もあり、SONYへ延長コードの用意があるか尋ねると無いとの回答。自分の使い方に合った長さのケーブルを自作することにしました。写真中央のRM-VPR1は自作ケーブルと延長用のコネクターが付いた状態です。

SONY RM-VPR1と自作延長コード

RM-VPR1と自作延長コード

上の写真中央はRM-VPR1の付属80センチコードを途中で切断して8ピンのコネクターを接続した状態のコマンダー本体で、左側にあるのが約25センチ程度のマルチ端子コードでこれも付属コードを切断し長さ調整した後にコネクターを接続したもの。普段はこのセットでシャターレリーズとムービーON/OFFを使っています。右側の太めのコードが約3メートルの延長コードで秋葉原で仕入れた8芯のシールドケーブルの両端にコネクターを取り付けたものです。

8ピンコネクターのアップ写真

8ピンコネクターのアップ写真

写真は8ピンコネクターで8芯のシールドケーブルと同時に秋葉原で仕入れたもので芯線をハンダ付してからアウターチューブを被せ完成。SONYのマルチケーブルの仕様に詳しい訳では無いので端子内部をよく見るとUSBケーブルと違い手前に10ピンが並び奥に5ピンが見える。RM-VPR1ではどのピンを使用しているのか解らないので付属ケーブルを切断して8芯であることを確認。色分けされているので間違わずに結線していけば途中延長も可能でした。

ちなみに、6メートルの延長ケーブルも作りましたが、動作不安定で使用していません。前述のようにSONYのマルチケーブルは手前の10ピンと奥の5ピンの仕様が解りません。RM-VPR1の8芯接続では電力供給がないのかも知れません。SONYで延長コードの用意が無いのはこの辺の理由によるものと自分では推測しました。

最後に購入したのが最初の写真、右側にあるRMT-P1BTリモートコマンダーで、一々カメラに接続するのも面倒なのでケーブルもなく取り出して即使えるところが良いです。無線通信(Bluetooth)で通信範囲5メートルとの事で今のところ遅延もなく問題なしで使っていますが、仕事で条件にもよるがカメラから離れてレリーズ操作する場合は確実性を担保するためRM-VPR1を使います。

NikonD800レリーズ端子とコード

NikonD800レリーズ端子

左の写真はNikon D800Eのレリーズ端子部分で、コードを繋ぎ金属製のロックリングで固定した状態。このようにシャッターレリーズは物理的にも電気的にもダイレクト接続が(仕事で使うときは特に)最も確実。この D800Eのレリーズ端子の金属製のロックリングは冬場グローブを着けたままだと回し難く、その点Canonはワンタッチロックで使い勝手は良かった。両社ともメーカー製のかなりの長さのある延長ケーブルの用意があり撮影現場の状況の把握があったのだろうと思う。何れにしてもチョット力がかかっただけで抜けてしまうSONYのマルチ端子よりは確実な仕様であった。現在Nikon、Canonともミラーレス機に移行しているので現状の詳細は不明だが。

NikonのMC-30とプロンターレリーズ

NikonのMC-30と昔のアナログレリーズ

上の写真左はNikonの最もシンプルなMC-30型シャッターレリーズで大きめのレリーズボタン、側面にバルブ撮影時に使うロックスライドボタンがあり、使い勝手が良い。右側は長い間使って来たレンズシャッター用のレリーズで(今は使う事ないが)このような単純な機能と確実性があればシャッターレリーズとして十分。

 

964リアスピーカーのエッジ張替え!!

エッジの劣化したリアスピーカー

Blaupunkt 964 リアスピーカー、 左は劣化したウレタンエッジのまま、右はエッジを取り去った状態

1990年モデル、ポルシェ964C4、走らせている時はエンジン音とメカニカルノイズ、タイヤの接地音などで十分。そもそも昨今の車の様に静かな車内ではない。サーキット走行時はフルフェイスヘルメット着用でも走行ノイズで満たされる。ただこれは走行状態の情報でもある。長距離旅行で高速道路を行く時は、速度を上げれば上げるほど空気を切りさく音以外、いがいに静かなのもこの車の本来の持ち味かもしれない。

最近、めったに聞く事のないカーラジオ(Sony製のカセットデッキ付き、時代を感じさせるが)にiPodを繋ぎ音出しするが、後ろの方からガサガサと妙な音が出ている。戻った後、リアスピーカーを外してみるとウーファーのウレタンエッジが完全に劣化、指で触るとボロボロと崩れ落ちる。無理もない30年間、下からエンジンの熱にさらされ、上からは日差しに晒されてきた訳だから。

外したリアスピーカーはBlaupunkt製の2ウエイ、ウーファー(フルレンジ?)は約10センチで小さなコイルとコンデンサー介してツィーターが繋がっている。テストで音出しするとツィーターは問題なし、ホームオーディオでもそうだが高音帯域用のツィーターはドーム型やホーン型が多く小型で素材的にも比較的劣化しにくい物が多いと思う。市販で車載用のスピーカーユニットが色々売られているので交換してしまうのが早く簡単で一般的な方法と思うが、自宅で使っているスピーカーでもエッジ張替えを経験しているので、ここはオリジナルBlaupunktのまま、外観も変えたくないのでエッジ張替作業することにした。

エッジ張替え後のBlaupunktリアスピーカー

エッジ張替え後のBlaupunktリアスピーカー

スピーカーユニット、なかでもフルレンジやウーファーは一般的にはコーン型で、素材にもよるがエッジやダンパーの経年劣化が起こるので修理やメンテナンスパーツ販売のショップがある。よく利用するのが FunTeqファンテックhttp://www.funteq.com/index.htm。今回はAR70型番のラバーエッジを二枚購入(一枚約1,500円)ウレタンタイプもあるが耐久性の高いラバーエッジで張り替えた。専用の接着ボンドと細いハケ筆は以前購入したものを使い、劣化した古いウレタンをきれいに剥がすのに細いカッターナイフがあれば問題なし。

リアスピーカーを外した車内後部

リアスピーカーを外した車内後部

上の写真はリアスピーカーを外した車内後部で中央に置いてあるスピーカーメッシュカバーは周囲が樹脂製で上から被せてあるだけなので薄いヘラもしくはマイナスドライバーを差し込み浮かせるようにしながら外した。後は四本のタッピングネジを外せばユニットごと外れるので意外と簡単。下の写真はエッジ張替えたユニットをリアに収めた状態でメッシュカバーを被せれば作業終了。

左右スピーカーユニットを取り付けた状態

左右スピーカーユニットを取り付けた状態

リアスピーカーを修理したところで気になったのは前方左右のドアに取付けられたスピーカーの状態。現状では音に問題ないと感じられるが(30年も経過しているのはリヤスピーカーと同じ)念のため状態チェックでドアの内装内張を外してみた。順序良く各所ネジを外していけば何処も破損なくはずすことが可能。昨今の車の様なチャチな樹脂製のピンではなく作業性は良い。

964のドア内張の内部状態

964のドア内張の内部状態

ドアフレーム側にマウントされているのは16センチ程のSony製コアキシャルユニット、ウファーコーン紙のエッジは布に樹脂含浸したような素材でやや劣化と硬化が感じられるが破損はしていない。フレーム周りのウレタンもまだ弾力性があった。ユニット自体を外したので軽く清掃して鉄板製のドアパネル内に厚めの梳毛フエルト貼り多少の吸音とデッドニング処理をした。外した内装パネル側にネジどめしてあるツィーターユニットはメーカー不明、小型のコーンタイプで聴感上異常なしと感じたので接続端子を磨きしっかり締めて再接続作業のみ。

一応音がまともに出るようになると気になるのが現在装備されているSony製1 DINサイズのヘッドユニット。現在は裏側にAUX端子があるので、そこにステレオミニプラグを結線して隣のグローブボックスに出しiPodを接続できるようにしたが、なにせ30年前のユニット、カセットデッキ付きでUSB接続やブルーツゥース、SDカードスロットなど今時のデバイス接続は当然の事ながら出来ない。音質そのものは決して悪くはないし、デザイン的にも比較的シンプルで964のダッシュボードにオレンジのイルミネーションカラーで違和感なく収まっている。さらにしっかりしたハンドルを上手く組み込んであり車から離れる時は盗難防止のため本体を引き抜き外せるようになっている。

1DINサイズヘッドユニット

Sony製の1DINサイズヘッドユニット

1 DINサイズのカーオーディオヘッドユニットで今時の機能を持つ機種を色々探してみたが、国産は総崩れ、まず前面のデザインが酷い状態で昨今の国産車フロントデザインの如くギラギラ、ピカピカで妙に装飾過多。964のダッシュボードでは浮き上がってしまい昔風に言えば”チンドン屋”なのだ。国内では1 DINサイズのカーオーディオヘッドユニットはもう見捨てられた存在かもしれない。海外ではまだシンプルで落ち着いた前面デザインの物があるようなので、探してみたいと思っている。

α7 Eマウントに旧Nikkorレンズ シフト&ティルトマウントアダプター

手持ちのSony α7RⅢに、これも以前から手元にあるAI Nikkorの数本を使うためにシフト&ティルトマウントアダプターを手に入れました。RAYQUALのNFG-SαEアダプターは以前から使っていて、品質性能とも満足していたが、レンズをティルトさせることでピント領域をコントロールするのが主な目的でFotodiox Pro TLT ROKR – Tilt / Shift Lens Mount Adapter  NIK(G)-SN Eを選びました。

このアダプターは左右に10mmずつ、トータル20mmのシフトと10度のティルトが可能で30度毎にクリックのある360度の回転を内蔵。GタイプのNikkorを使うための絞りコントロールの目立つ青色リング付きです。Fotodioxでは『要求の厳しいプロのための強化されたクラフトマンシップと高耐久性の構造』、『限定2年間のメーカー保証』と言っている。Fotodioxに直接オーダーして10日で届き、価格は$199.95(約¥21,000)送料込みで約¥25,000でした。

下のスライドショーは撮像面(Cモスセンサーやフィルム面、図ではグレイの垂直線)に対してレンズティルトを行なった場合、レンズの光軸線の動きを個人的にイメージして作ったもので、一般的にビューカメラ(4×5判など)ではレンズの光学的芯のあたり(絞り機構の位置あたり)を中心にしてティルトを行いますが、マウントアダプターにおけるティルトはレンズの光学的芯よりもずっと後方にズレたあたりを中心にしてティルトが行われます。(レンズ構成断面図はNikkor-H AUTO 50mm F2からの引用)

このようにマウントアダプターによるレンズティルトではレンズの中心からズレた部分を使う事になると思い、解像度や結像状態に疑問と不安がありましたが、かなり絞り込んで(f8以上)使う事もあり実際の使用では問題ないことがわかりました。(4×5判カメラなどではティルト角度が30度近くある場合があるが、このアダプターは10度までで許容範囲を読んだ設定かも知れない)

国内ではこの手のマウントアダプターはKIPONのTILT&SHIFT NIK-NEX が使われるケースが多いようだが、シフトは左右に15mm、ティルトは12度と言うことでプレートが左右に出っ張り少々大きいし、レンズを付けた状態では一体感が今ひとつと言う感じ。TLT ROKR – Tilt / Shift はシフト左右に10mmだがNikkorレンズの外径より若干太い感じもするが一体感とおさまりが良いと思う。(トップの写真参照)

下のスライドショーはカメラにマウントした状態での左右10mmずつのスライドで、ガタや緩みもなくスムースに動きます。ガイドの上にあるレバーは1mm単位でノッチがあり細かくコントロールでき、押し込んだ状態ではスッと動き、内面反射防止処理も行われています。

Zoom Nikkor 35~70mm 1:3.5

Zoom-NIKKOR 35~70 1:3.5

Zoom-NIKKOR 35~70 1:3.5

このZoom-NIKKOR 35~70mm 1:3.5レンズはF3時代(1981年)に手に入れたもので最近はほとんど使うことがなかったレンズですが、その作りと性能の良さは解っていたので TLT ROKR – Tilt / Shiftアダプターと一緒に現役復帰です。35~70mmは二倍ズームでしかありませんが、特別な条件を除きほとんどがこの範囲で十分であり、アウトドアでの撮影もこの範囲で撮影していることに、このレンズを使い始めて再確認でした。

Zoom-NIKKOR 35~70 1:3.5はどの焦点距離でも単焦点レンズにひけをとらないシャープでしっかりした描画が得られ、昨今のズームレンズのように全長が伸びたりする事なく内部でレンズ群が微妙に動き焦点距離を変化させています。70mm時のみマクロ機能があり35cmまで寄れるが70mm以下では最短撮影距離70cmは少々残念。

この35~70mmはフィルム時代のレンズなのでデジタル処理に関した種々のデータがないので歪曲収差、像面湾曲、非点収差、周辺減光など見るために35、50、70mmにて簡単なテストをしました。絞りはf11でチャートを撮影しましたが歪曲収差、像面湾曲はわずかで補正の必要はあまりないようで、優れたレンズ設計がなされています。イメージサークルテストで35mm時はギリギリの結果が出たように四隅に周辺減光が僅かにあります。下はその結果画像のスライドショーです。

35mmレンズのイメージサークルテスト

レンズをティルト&シフトして撮影する際に重要なのはそのイメージサークル(使用可能な円形の結像面のサイズ)の大きさで、中判(6×6)や大判(4×5)レンズはイメージサークル表記があるものが多いが、35mmレンズのイメージサークルは専用という事もあり基本的に公表されていない。一部TSレンズは表記あるものもあるが。(CanonのTS-Eシリーズは67.2mm、流石に高価だけのことはある)特にシフトはレンズの中心軸が大幅に移動するので余裕のあるイメージサークルが必要となる。SONYにはまだEマウントのTSレンズのラインナップがないが、NikonやCanonで焦点距離の違う三本のTSレンズを揃えたらとてつもなく高価な買い物になってしまう。(ただし、上記で書いたようにレンズ設計時にティルト&シフトの機構を組み込む構造なので光学的中心軸の位置などは考慮されものになっている)その点、35mm一眼レフの普通のレンズをティルト&シフトレンズに変換できるアダプターはコストパフォーマンス抜群ではないだろうか。

下の図は各レンズを最大絞りf22にして実際にシフトさせカメラ液晶モニターで目視で確認したおおよそのデータを元に作図したものです。真ん中のグレイの方形が36mm×24mmの所謂35mmフルサイズです。

 

Zoom-NIKKOR 35~70 1:3.5は約55mm時に最大のイメージサークルとなりTLT ROKR – Tilt / Shiftアダプターで最大限(左右に10mmずつ)シフト可能で(図の赤丸部分)35mm時(図の黒丸部分)はほぼギリギリでわずかなシフトでも画像のケラれが隅に発生します。その他、手持のAF NIKKOR 35mm 1:2D、AI NIKKOR 50mm 1:1.4、AF-S NIKKOR 14~24mm 1:2.8 G EDもテストし、結果がほぼつかめ何れにしても35mm用レンズは35mmフルサイズフォーマットに対して若干の余裕ある程度のイメージサークルで作られていて35mm用のレンズを使い大きくシフトする場合など、例えば建物やインテリア撮影時はAPS-Cサイズフォーマットで行うのが無理なく良い結果が出ると思います。この結果は事前にある程度予想していたので最大(左右に15mmずつ)シフト可能なKIPONのTILT&SHIFT NIK-NEXは35mm用のレンズ使用では少々オーバースペックで価格も3万円前後すること、及びカメラにレンズ共々装着したハンドリングと全体のバランスなど考慮してFotodiox Pro TLT ROKR – Tilt / Shiftアダプターの購入となった訳です。

最後に撮影した写真を紹介します。

下のスライドショー二枚の写真は長野県富士見町の入傘山、大阿原湿原で早朝に撮影、Zoom-NIKKOR 35~70 1:3.5使用で絞りはf8~f11、ピント煽り(ティルト)を効かせることで無理なく手前から奥まで自然にシャープな描写ができていると思います。(35mmフルサイズのレンズでは最小絞りで回析現象が起きピントが甘くなる場合が多いのでティルトを効かせてピント面を調整します)

下の写真は、同じく大阿原湿原で早朝に撮影、Zoom-NIKKOR 35~70 1:3.5使用で焦点距離は約60mm、絞りはf8でアダプターの左右シフトをフルに使い2カット撮影してつなぎパノラマとしたもので、カメラパンニングではなくレンズシフトなので違和感なく自然につながったと思います。

朝の湿原パノラマ写真

朝の湿原パノラマ

Sony α7シリーズの 電源対策

Sony α7シリーズのカメラを使うようになってから、その電源バッテリーが通常使用で全くもたない。最初に手に入れたα7ⅡはNP-FW50リチュームバッテリーで、これは以前からSonyにあるAPS-CフォーマットのNEXシリーズ、その後のαシリーズなどに使われていたバッテリーで35mmフルサイズのミラーレス一眼となったα7シリーズの電力消費量に対しては適切な選択ではなかったようだ。
ミラーレス一眼はそれまでのデジタル一眼レフと違い、主要機能は全て電力を必要としている。さらに手ブレ補正、高速連写、AFの駆動や制御、HDや4Kのムービー撮影機能など、それらを一度機に使うわけではないが、7.2V 1020mAhのFW50では仕事で使えるレベルではない。その後α7RⅢなどが発売となった時期にNP-FZ100 7.2V 2280mAhリチュームバッテリーとなり電力の持ちはかなり改善されたが、それでも仕事で長時間にわたっての使用には心許ない状態だ。
FW50とFZ100は7.2Vの電圧は同一だが、サイズが全く違うので互換性はなくFW50を使うカメラには対応できないのも残念としか言いようがない。バッテリーを複数個用意して取り替えれば良いと思うが、その間電源が落ちることになることや、純正バッテリーはかなり高価であること、NPA-MQZ1Kと言うマルチバッテリーアダプターキットもあるがこれもまたかなりの高価(4本のNP-FZ100を積んでいてかなり大きい)・・・

外部電源3タイプ

用意した外部電源3タイプ

そんな訳で内蔵バッテリーに頼らない外部電源供給の用意が必要となる。外部電源は現在手元に3種類あり、最初はα7Ⅱ用にSony AC-PW20 AC100vを手に入れた。これはDC7.6V 2.0A出力のスイッチングACアダプターとFW-50対応のDCカプラーがセットになったものでスタジオなどAC100Vのある環境で使用する。電源部とDCカプラーはDCジャックコネクターで切り離せるように改造してある。(電源コードも含め上の写真左側)その後CASE RELAY FW50対応DCカプラー付きを入手。これはAC100Vのない野外などでモバイルバッテリーを繋ぎ長時間のカメラ使用を可能にするものでムービー撮影には必需品。CASE RELAYは本体にリチュームバッテリーを内蔵していてモバイルバッテリー交換時も電力供給が途切れることがないとしているが、この内蔵バッテリーが劣化してくると不具合が出る事がある。(上の写真右側の上)比較的最近になってAC-FZ100パワーバンクusbケーブル+NP-FZ100をAmazonから約3,900円で入手した。その第一の目的はα7RⅢの長時間使用、これはAC100vのusb電源アダプターがセットになっていてそれを使わない時はモバイルバッテリーのusbから電力供給できる仕組みになっている。(上の写真右側の下と下の写真)usbの電圧は5V程度なので7〜8ボルトに上げる回路が途中に入っている構造。ただし昇圧するためモバイルバッテリーの容量は20000mAh以上ないと不安定になる可能性あり。それはどう言う事かと言うとモバイルバッテリーのusb出力電圧は基本5vだが電流が低いことがあり、2アンペア以上の電流を必要とするようだ。同梱の説明書には推奨の対応モバイルバッテリーがいくつか紹介されていた。

NP-FZ100 DCカプラー

AC-FZ100パワーバンクusbケーブル+NP-FZ100

3種のDCカプラー

3種のDCカプラー同一ジャックに統一

上の写真はカメラのバッテリー室に差し込むDCカプラー3種類で左からSony製FW50タイプ、中央はCASE RELAY FW50対応DCカプラー、右がAC-FZ100パワーバンク付属のFZ100対応DCカプラー、Sony製のみケーブルを途中切断して標準DCジャックコネクター(内径2.1mm 外径5.5mm センターピン+)を繋ぎ、全て同一規格にして電源供給の汎用性を確保した。(SonyだけでなくCanonやNikonもバッテリー電圧(電源電圧)はDC7〜7.5Vで電流も1.5〜2Aくらいでほぼ同じ)これでSony AC-PW20をα7RⅢでも使用可能となる。

DCカプラー内部

DCカプラー内部、内蔵チップの違い

カメラのリチュームバッテリー接続端子をよく見ると3〜4ピンあるが電力供給だけであれば2ピンでOKのはず。残量表示などデータを送るためのピンが追加されている。上のDCカプラー内部写真を参照。ソニー純正とそうでないものはチップ構造が違い、カメラ側に送るデータにも違いが出る。AC-PW20を使用時ソニー純正のDCカプラー装着ではカメラ起動時の最初から電池残量表示は表示されない。同様にCASE RELAY FW50対応DCカプラーではカメラ起動時に電池残量表示は52%と表示され、その後表示は消えカメラは継続して使える状態になる。そのように純正品でない中華製などのDCカプラーやリチューム互換バッテリーはチップ構造が違うので、たとえ電力容量がキッチリあったとしてもカメラの電池残量表示はあまり当てにしない方が良いと思う。

Sony α9 α7RⅢ α7ⅢなどNP-FZ100バッテリーを使うカメラで外部電源を検討しているのであればAC-FZ100パワーバンクusbケーブル+NP-FZ100を使うのがコストパフォーマンスは高いと思う。まだ使い始めて日が浅いので耐久性などについては検証できていない。耐久性や不具合があれば、その時点で追記する予定です。

iPhone、iPadをカメラモニターに!! Accsoon CineEye

Accsoon CineEye & Sony a7r3

知り合いの映像制作ディレクターから「良いものがある」との事でAccsoon CineEyeを使うようになりました。以前からそうですがデジタル一眼で撮影の際に写真撮影ではファインダーを主に使いますが、全体の構図を確認したり種々の設定を行う時、液晶モニターを使いますがほとんどのカメラは3インチ程度の大きさで私としてはとても小さく決して見易いとは言えません。(歳のせいもあり老眼ですから余計に)また、この液晶モニターは可動式になっていて角度調整などできますが、その可動範囲も限られカメラ本体から外す事はできず使い勝手が良いとは思えません。カメラを縦位置で構え極端なローアングルやハイアングルにした時にはファインダーも背面液晶モニター役に立たなくなります。特にムービー撮影時は5インチ以上のサイズで任意の場所に取り付け撮影画面全体をしっかり確認できる外部モニターが必須になります。

以前からSony a7シリーズを使っている事もありHDMI接続のSony CLM-V55 を使っていましたが、解像度、輝度ともに低く使い勝手は今一つと言ったところで、突然起動しなくなり修理は基盤交換で15,000円ほどかかると見積もりが出て、使用を諦めました。(CLM-FHD5と言うS-Log用Lut内蔵、解像度1920×1080の新型もありますが・・・)

仕事でムービーの撮影を行う場合、見やすいモニターは必須ですが映像シーンを複数の人間で(ディレクター、エディター、クライアントなど)共有する必要もあり、iPhne、iPad、その他モバイルデバイスは普及して所持している人も多いのでそれらを活用すれば別途モニターを用意する必要もなくAccsoon CineEyeはローコストでその環境を作り出すコンパクトで秀れたHDMIトランスミッタだと思います。

Accsoon CineEye 本体とiPhoneフォルダー

Accsoon CineEyeと自作iPhoneフルダー

Accsoon CineEye本体と自作のiPhoneフォルダーです。本体はクレジットカードとほぼ同等のサイズ90×63mmで厚みは21mm、バッテリー内蔵で175g、5G WiFiで電波到達距離は100メートル(障害物なしメーカーの表記)4台のデバイスで同時モニタリング可能としています。HDMI入力は1080p/720p/480p及び60~23.9fpsと言ったスペックです。バッテリーの持ちは3.5時間で表面にある4個のLEDで残量表示し側面にあるUSBタイプCポートから充電、給電します。(USB-C/Aの充電ケーブル、HDMIケーブル3タイプは本体に付属)WiFi接続で問題となる映像転送の遅延ですが60ミリ秒(メーカーの表記)と僅かでムービー撮影でも今のところ問題なしで使っています。Accsoon CineEye本体はAmazonから26,800円で購入、カメラシューマウント用Soonwellのミニボールヘッドは”ギフト”で付いてきたものです。自作のiPhoneフォルダーはAmazonから購入した「2WAYスマートフォン・iPhone携帯ホルダー」一個397円を2mm厚のアルミ板に二箇所穴を開けCineEye本体と一緒にカメラマウント可能にした物です。

最近AccsoonからCineEye Airという更に小型で軽量なモデルが発売されています。バッテリーが内蔵されていないのでUSBタイプCで外部給電仕様、3台のデバイスで同時モニタリング可能と発表されていて100gをきる軽さで価格も15,000円程度ですからプライベートでの使用などはCineEye Airで十分かなと思います。

Accsoon アプリ

上の写真はAccsoonのアプリインストールApp Storeの画面です。(Google PlayでもOK)このアプリをスマホなど各デバイスにインストールしてからCineEye本体の左側面にある電源ボタンを入れます。表面にあるA文字のようなイルミネーターが赤に変われば電波発信しています。次にスマホなど各デバイスのWiFi設定からCineEyeのWiFiに切り替えます。最初はパスワードを要求されるので12345678と入力すれば繋がります。その後Accsoonのアプリを立ち上げ、上の写真の下の欄にあるようにCineEyeのページヘスワイプして進み画面下のボタンをタップしてMonitorを選びスタートします。(デバイスにより表示が少し違うかも知れませんが・・・)Accsoonではジンバルなどの商品もありこのアプリはそれらのコントロールにも対応しているようです。

CineEye 各種設定画面

最後にCineEyeモニター設定画面に付いて。撮影時に邪魔であればモニター中央をタップすればこの設定パネルは消えます。またこのパネルは主にムービー用設定なのでスチール撮影時に必要なものはFocus、Histogram位でしょうか。また映像制作に携わっている方には今更の感ありますが、少々説明します。

Waveform・映像は、輝度と色でその表現を行います。この二つをグラフで数値化し、波形として可視化したものが「ウェーブフォーム」です。白が飛びすぎていないか、黒がつぶれすぎていないか、等を判断するときに使います。

Gray・これはその名の通り彩度無しのグレイスケール表示用です。

RGB・これはRGBの各チャンネルを個別に表示する時に使います。

Focus・これはフォーカスピーキングで色とそのレベルを変更可能です。この機能はカメラにも内蔵されているものも多いのでご存知と思います。ピント合わせ用です。

False・これはフォールスカラーでモニター画面内の輝度を色に変換して表したもので画面左サイドに表示されているカラーバーに対応していて、主に露出をコントロールする時に使います。

Zebra・設定した輝度レベルの部分をゼブラパターンで表示する機能です。明るさ調整の目安に使用します。狙った被写体がどれくらいの明るさで写るのかをゼブラ機能の設定を使って確認します。白とびを防いで撮影したい場合有効な機能です。

Lut・“Look Up Table”は、あるカラースペースから別のカラースペースへの変換に用いられ、カスタムLUTは好みのルックでプレビューしたり、撮影現場でカメラモニター用に直接グレーディングするのに用いられるもので、SonyのS-logなどで収録中はそのままモニターすると非常に眠く薄いグレイのような見え方になりLutを当て見え方を補正しモニタリングします。Accsoonのアプリ初期バージョンではLut項目に何も入っていない(後から自身で読み込んで入れる)状態で最新バージョンにはCanon Log2、Fujifilm F-Log、Sony SLog3三種いずれも709相当のLutファイルが既に内蔵されているので最新バージョンをインストールすることをお勧めします。

More・一番右にあるMoreボタンはまさにモアでタップすると画面上右側にオーバーレイで種々の詳細設定画面が現れます。部分拡大など有用な機能や設定が数多く詰まっています。画面タップで出たり消えたりするので便利です。

このAccsoon CineEyeを使い始めてまだ日が浅いのでその耐久性や内蔵バッテリーの劣化の程度はわかりません。バッテリーの持ちはもう少し増やし5時間程度行けると良いのですが、小型化で難しい部分かも知れません。(長時間に及ぶ場合は給電しながら使っています)iPhoneとiPadで使いますが、iPhoneの場合表示画面はカメラ液晶より大きいですが設定画面が邪魔になるので必要な時にだけ表示させています。また、電波の到達距離は100mと言うことですが、これもテストしていないので・・・20〜30mは全く問題ないです。本体は電波発信機なので動作中は多少温度が上がります。野外で日中使用するときはデバイス側の輝度調整で輝度を上げたり、簡単な遮光フードがあると便利だと思います。


カメラの外部モニターを検討中で、スマホやモバイルデバイスを既にお持ちであれば、このAccsoon CineEyeを導入するのがローコストで良い結果が可能と思い記事を書きました。1Kmも届くHDMI/SDIトランスミッタも業務用機器として種々ありますが高価で本体も大きく(アンテナも含めて)バッテリーも別途必要で・・・。このAccsoon CineEye、中華製という部分が若干気になりますが、撮影時に使う種々の機材で最近比較的ローコストで使い勝手が良く考えられていて品質も悪くない物が深圳あたりから多く出てきています。発想とか着眼点が新しく良いのではないかと思います。ワールドワイドの環境で物創りや発想が古く観念的で、今一つ寂しい日本国内の企業が大いに気になる昨今です。

Leipzig Hauptbahnhof ライプツィヒ中央駅

No,1 Leipzig Hauptbahnhof 1912.9

ドイツのライプツィヒ中央駅を再び訪れました。以前に来た時にその佇まいがとても印象的でした。ヨ-ロッパでは、列車が行き止まりになる構造の駅(頭端式駅)がまだ多く存在します。ライプツィヒ中央駅はその頭端式駅の中ではヨーロッパ最大と言われています。日本では昔の上野駅が同様の成り立ちで、旅に出るとき、また旅から戻るときこの頭端式鉄道駅は旅情と言うか、その感覚がとても印象的です。

資料によると1909年に建設を開始して1915年に開業と言いますから105年前から今に続く訳で、多くのヨーロッパの中央駅が戦火で消失した中でライプツィヒ中央駅は建設当初の素晴らしい造りを今に伝えてくれます。

No,2 Leipzig Hauptbahnhof 1912.9

上の写真は右端のプラットホームで昔の蒸気機関車や客車が展示され、横には駐車場まで併設されています。見事な鉄骨構造の骨組みと板張りの天井、磨き込まれたホームの床が魅力的です。プラットホームには誰でも自由に出入りできます。駅のプラットホームは列車に乗り降りする人のためだけにあるのではなく送り迎えの人達も利用します。以前シュツッガルトの駅で(ここも頭端式駅)バラの一凛を後ろ手に持った若者を発見しました。到着した列車から降りた女性に手渡し抱擁していました。印象に残るシーンでしたが、駅の施設は誰でも自由に出入りできる必要があると思います。

No,3 Leipzig Hauptbahnhof 1912.9

上の写真は左端の工事中のプラットホームから横方向に構内を撮影したもので、現代の建築には無いアーチ状の複雑な鉄骨構造と板張りの天井が美しく見えました。

 

No,4 Leipzig Hauptbahnhof 2019.10

No,5 Leipzig Hauptbahnhof 2019.10

上の写真二点は最初の写真のエントランスホールから続くプラットホーム手前の広い通路?です。石貼りの大きなアーチが印象的です。地下に続く二層のショッピングモールは後に改築して作られたもので、こちらに降りると時間軸が急に現代と言う感じで面白いです。

No,6 Leipzig Hauptbahnhof 2019.10

上の写真は線路側から駅建物を見たところです。まだ全体が画角に入っていませんが(これで半分くらい)飛行機の格納庫ようなアーチ構造とその広さ、大きさが見えると思います。

ライプツィヒ中央駅は正面の建物自体も魅力があり、また昔ながらの待合室も良い雰囲気なので機会があればまた訪れて撮影したいと思うところです。

写真No,1、No,4~No,6はα7R3/Super Wide-Heliar 15mm、写真No,2、No,3はNikonD800E/24mm(ズーム)での撮影です。

ターンテーブル再生 “マブチモーター”

久しぶりにレコードを再生しようとしたがターンテーブルが回らない。以前にも回転が不安定なこともあり、ついに完全に壊れてしまったようだ。ターンテーブルはテクニクスSP-12と言うダイレクトドライブタイプで、1974年発売のものですでに45年前の製品なので修理は不可能とあきらめ使えるしっかりした金属製の構造部材のみ使用して、以前から使っているサエクのトーンアームやMCカートリッジ(DENON-DL103など)、昇圧トランスなどはそのまま使用してローコストでベルトドライブのターンテーブルとして蘇らせる作業に取りかかりました。
最近テクニクスよりSP-10R(DDターンテーブル)が発売され80万円の???プライスタグが付いています。SP-12も当時¥45,800でしたが・・・

昔から集めたLPレコードもそこそこの枚数があり、中にはCD化されていないものも多く、それらを高音質のデジタルデータ(DSD)として保存し気軽に楽しむことが目的です。
ダイレクトドライブターンテーブルは多少の構造の違いはあれ、プラッターないしハブの中に直接モーターを組み込みコントロールユニットで回転制御を行うものでその基盤の素子(コンデンサーやダイオードなど)に何らかの劣化や接触不良が起こると制御できなくなり、専門家でないと修理も難しく、そもそも一般家電製品の電子基板の耐久性はあまり長くないように思います。修理なども基板ごと交換で国内製品は8年くらいしかアフタケアパーツを保持しません。(数年保てば良いと言うような使い捨て商品が多いと思います)ダイレクトドライブターンテーブルのモーターは必然的に低速回転でどんなに多極化しても回転のコッキングがあり、モーター別体でベルトドライブや糸ドライブにした方が回転も滑らかで振動などからも有利となりメンテナンス性も上がり、長年の使用に耐えられるものになると思います。

DC12vモータで回す!!
ターンテーブルの回転駆動モーターは一般的に交流のシンクロナスモーターを使うことが多いようですが、安く仕上げるため手元にあった壊れたテープデッキの小型DC12vモータを利用して(廃品利用)、回転が高いのとトルクがあまりないよう感じたのでギヤを組み込み1/4に減速し同時にトルクアップを狙い試作しました。ギアを組み込むことでギヤノイズが出ます。またDCブラシモーターもパルスノイズ発生がありコンデンサーをモーターに直付けしてそれらが音楽信号に影響しないよう上手く遮断する必要があります。

DC12vモーター試作と本番

この試作モーターにパルス回転制御を加えてテストした結果、回転速度は33.1/3でまあ安定しますが、レコード盤に針を落とすとその瞬間回転がブレて不安定になることが判明。これはモーターの回転数をだいぶ落としていることとトルク不足による事が判明。トルクの高いRS-755 DC12v 無負荷回転5,600rpm(マブチタイプ)¥1,330を購入し組み替えて問題なしとなり、モーターユニットがベルトのテンションでも動くことないようにナマリのプレートで十分な重量になるよう組み上げました。またモーターとギヤの振動を床に伝えないようゲルとゴムマットの二重構造インシュレーターで支える構造です。マブチモーターと言うと模型用の安価で小さなものをイメージされる方も多いと思いますが、DCモーターとして産業用途で相当多くの種類があり自動車関連用途は12ボルト仕様です。回転数も種々ありますがトルクの高いものはドリルにそのまま使えるような物もあります。

構造上モーターユニットをターンテーブル本体の外側に置かず内側でハブとゴムベルトで駆動するためターンテーブル本体に接触しないよう切り欠きを大きくしてフロート状態にしています。なお、使用したゴムベルトは「カセットデッキ修理パーツ平ベルト」と言うものでTECHSPACHブランドで予備を入れて2本アマゾンより購入420×2で¥840円でした。ちなみにゴムベルトで連結されているハブには内部に多極のモーター回転子が組み込まれていましたが、それも必要ないので取り払いました。同じくハブ内にあるリングマグネットは接着されていて重量もあるので取り外ししないでそのまま使っています。

組み込んだモーターとSP-12のハブ

DCモーターの回転制御
ターンテーブルの要は振動やノイズの影響を受けず一定速で滑らかに回ることにつきます。簡単なようでこれが実に難しい。最近レコードが見直され一時姿を消したレコードプレイヤーが商品化され色々なメーカーから発売されるようになり、中には数百万円する驚くような回転精度を出しているハイエンド製品もあります。そう言った意味からすればDC12vブラシモーターでターンテーブル駆動は論外の意見もありでしょうが、ありもの利用のローコスト再生が目的なので・・・
DCモーターの回転制御はパルス変調方式のユニットで行います。今回は「PWM基板モジュール スピードコントローラー 無段階速度制御 0-5V PLC DC6V-90V 15A 1000W ONKYOU」と言うものをアマゾンで購入(¥1,490円)

DCモーター回転制御と電源スイッチ ボリュームは別物

この基板モジュールで問題が一つ、付属のボリュームBカーブ100kオームはごく一般的回転角度で安価なものなので俗に言うガリもあり安定した微調節ができないことが判明。秋月電子通商のヘリカルポテンションメーター(ヘリポット)100kオーム10回転型¥700円を購入し入れ替えました。電源供給は手持ちにいくつかあるACスウィチングアダプターの中から12ボルト5アンペアのものを使っています。

付属のボリュームと秋月電子のヘリポット

完成したローコスト再生プレイヤー

SP-12のターンテーブルプラッターは外周に回転数監視のストロボスコープドットパターンが刻まれているので百均ショップで買ったLED豆電球をすぐ横に配して再生中に監視していますが重めのレコードスタビライザーを乗せても、針の上げ下ろしをしても安定して回転しています。モーターのギヤユニットからのノイズは噛み合わせを微調整しても若干出ていますが、カートリッジから出力された信号には全く影響ありません。audio-technicaのインシュレーターも以前からあるもの利用で、今回は5,000円以内でターンテーブル再生できました。
レコードからのデジタル収録にはコルグのDS-DAC-10Rを使っています。DSDデータはアナログレコードに刻まれた豊かな情報量を再現できるようで気に入っています。

Sony α7Ⅱ と引き伸ばしレンズ-02 FUJINON-EX 1:5.6 90mm マクロ仕様

Sony α7ⅡとFUJINON-EX 90mmマクロ

Sony α7Ⅱをベースに引き伸ばしレンズFUJINON-EX 90mmでマクロレンズを組み上げました。以前から80〜90mmクラスのレンズでマクロ領域も可能な質の良いレンズをいろいろと検討していました。Micro-NIKKOR 105mmは昔から所持し使っていますが、105mmは場合によってちょっと長いと感じる時もあり、80〜90mmクラスの画角がよりオールラウンドと思ったからです。Sony α7シリーズ用にも純正の90mmがあり、またタムロンのSP90mmなども魅力ありますが、そこそこの値段しますし、重く大きいと感じます。僕がα7を使い始めた理由は何よりコンパクトなことが一番の理由ですから大きく重いレンズはNOです。手元にある引き伸ばしレンズFUJINON-EP 90mmを使うことを考え、オーバーホールしバルサム剥がし再接着も行いましたが長年の保管状態が良くなかった所為かクリアな状態に戻せなかったため諦め、(レンズ製造組み立ては全くの素人なので)ヤフオクで非常に良い状態のFUJINON-EX 90mmを手に入れました。

引き伸ばしレンズは本来の使用目的から考えても近接撮影に向いたレンズ設計がなされていると思います。(引き伸ばし機に装着してレンズからネガ面、印画紙面の距離を考えると通常数センチから数十センチ、大伸ばしでも印画紙面まで1メートル程度です)もちろん撮影レンズとして使う場合は無限遠でも問題ないと思いますが。それと引き伸ばしレンズの一番の魅力は軽く小さいことです。鏡胴やヘリコイドもなしのレンズ群と絞りのみで、いろいろ改造アレンジしてもやはりコンパクトで軽く仕上がります。(AFだとかブレ補正機構とか一切ありませんが・・・)

引き伸ばしレンズは一つ難点があります。それは明るさで一般的には開放絞りが5.6程度で撮影レンズとしては暗い方でしょう。紙のように薄く浅いピントと極端なボケは期待できません。僕の場合は普段からある程度絞り込んで撮影することの方が多いので問題なしですが。

FUJINON-EX90mm・Rodagon150mmとマクロ用ヘリコイド

レンズ2本と最大に伸ばしたヘリコイドのマウント側

伸びしろのあるヘリコイドを用意したので(Pixco M52-M42/36-90)以前から所有していたRodagon 150mmも同時に望遠マクロとして使えるように改造しました。(このRodagon 150mmに関してはまた時間があればレポートしたいと思います)二本の長焦点引き伸ばしレンズを撮影レンズとして使う為、ヘリコイドユニットは供用したいので手元にあったNikonのレンズマウントを使用してヘリコイドはそのままカメラマウントでレンズのみ交換可能にしました。ヘリコイドのカメラマウント側はEマウント、レンズマウント側はNikonマウントと言う仕様です。

用意したヘリコイドを一番縮めた状態で無限遠にフランジバックを調整する為使った鏡胴パーツ(延長筒)は友人から譲り受けたNikonの望遠鏡のアタッチメントパーツをカットしたりして使用しています。(Nikonの望遠鏡パーツは現在民生用として販売されていません。BORGなど専業メーカーには多くのオプションパーツがあります)望遠鏡パーツはM52とかM42のネジが切ってある場合が多く改造使用時に便利なところです。取り付け部分(マウント部分)をうまく作れればただのアルミパイプなどでも製作可能ですが。

Fujiの資料よりスペックを転記します。
EBCフジノンEX 90mm 1:5.6/本製品は、生産終了いたしました。
焦点距離(mm):90/口径比(F):5.6/レンズ構成(群-枚):6-6
包括角度(開放):58/最大適用画面寸法(開放・mm):56×84
最小絞り(F):32/設計基準率倍率:×7/使用倍率範囲:×1.5~×15
色消波長域(nm):380~700/歪曲(%):-0.06/焦点距離設計値(mm):91.9
鏡胴外径(mm):54/フランジ取付ネジ:39 P=1/26″/鏡胴長(mm):40
フランジフォーカス(mm):82.1/バックフォーカス(mm):74.8
第2主点とフランジ面の距離(mm):9.9/主点間隔(mm):-2.3
全長(mm):40/重量(g):95

ここで注目なのはまず単体重量95グラム!!です。非常に軽量、EXシリーズはEPにつづきFujiの最後の引き伸ばしレンズでEPまでは主に金属製でしたがEXでは樹脂パーツを使用し軽量化されています。そして名称は「EBCフジノン」となっています。昔Fujiの大判レンズを良く使用していましたがEBCフジノンがありました。富士フィルムの資料によれば『FUJIFILMのレンズは”EBC”の文字がクレジットされているものがある。これは”Electron Beam Coating”の略で、多層反射防止コートがレンズに施されていることを表している。レンズと空気の屈折率(INDEX)の差から生まれる光の反射を防ぎ、描写性能を高めるためのテクノロジーである。』とあります。このブログにも書いていますがFjinon EP 50mm F3.5も撮影レンズとして使っています。確かにこのEX90mmの方が色転びがなくニュートラルで抜けの良い感じがします。

もう一つ僕が注目したのは『最大適用画面寸法(開放・mm):56×84』の部分です。引き伸ばしレンズで90mmクラスは対するネガサイズが6×7もしくは6×8ですから、レンズで言うところのイメージサークルが絞り開放で80mmあると言うところです。これは自作ビューカメラでアオリやシフトがこの小さなレンズで十分使えるスペックと言うところです。

FUJINON-EX90mmを撮影レンズとする為に

上の写真はEX-90mm(フィルターネジ径46mm)を撮影レンズとして使うためのヘリコイドを除いた構成パーツでNikon BR-2リングはフィルター径52mmのレンズをリバース接続(レンズをひっくり返して使う)で使うためのリングで写真では見えない下側に52mmのネジが切ってあります。BR-2リングの上方にある52mmメスネジ付きのフランジバック調整リングの一方に42mmアダプターをかませたEX-90mmを取り付けます。また野外での撮影時のために46-52アダプターと52mmレンズプロテクトフィルター、52mm径のアルミフードを用意しました。長焦点や望遠系のレンズはクリアな画像を得るため余分な光をカットするフードは必需品です。携帯時にはフードをレンズ本体に被せてコンパクトにするため内側に黒のフエルト布を貼っています。

FUJINON-EX90mm 周辺減光と湾曲撮影テスト

絞り開放でのレンズテスト撮影。Fujiの発表スペック通り、周辺減光、湾曲ともほとんど0です。(もっとも90mmクラスは焦点距離も長いので35mmフルサイズでは周辺減光は少ない筈ですが)

スタジオにてデンファレ撮影 ISO500 f22 1/50sec.

上の写真、Nikonのスピードライト(レンズ先端装着用のMACRO SPEEDLIGHT SB-21、かなり以前のものです)とLEDを使い撮影しました。深いピントが欲しいためf22ですが小絞りボケ(解析現象)や色収差、パープルやグリーンのフリンジは見られず、極めてクリーンな描画をします。また十分にシャープですが柔らかい階調を持った自然な写りも良いと感じました。

リンフォフボードに装着

スタジオでの撮影ではリンフォフボードにマウントして自作のビューカメラ(当ブログでも紹介している)にて撮影することが多いです。十分な大きさのイメージサークルがあるのでビューカメラ用にも最適と思います。レンズ自体非常にコンパクトで軽量なのも魅力です。

夕暮れ時の自転車2台 ISO100 f8 1.3sec

夕暮れ時間、窓越しに2台の自転車を撮りました。ほの暗い時間帯のやわらかな光の感じが自然に捉えられた気がします。またこのレンズで撮影し、気に入ったものがあれば追々写真を追加していきます。

最後に、

Sony α7シリーズが登場してから引き伸ばしレンズを撮影レンズとして使う方も増えたと思います。引き伸ばしレンズ自体現行品はわずかで、ほとんどがかなり以前に製造されたもので、中古品として安く出回っていますから(大半が数千円台)入手しやすいです。古いものでも状態さえ良ければレンズの基本性能は決して悪いものではありません。撮影レンズに転用する場合重要なのはヘリイドの選定と鏡胴の作りがとても重要です。ヘリイドと鏡胴を含めたレンズ本体の内面反射を徹底的に抑え込む処理がレンズフードと同様に必要になります。市販の撮影用レンズではこの辺は徹底して行われています。今回使うことにしたヘリイド(Pixco M52-M42/36-90)は最大に伸ばすと90mmあります。内径の小さなものは内部反射も強くなりやすいので太めのM52を使いました。伸び代が大きいと言うことは内部の摺動部分も大きくここは黒のアルマイト処理されていますが、まだ反射はあります。摺動部分以外は黒のウールペーパーを貼り、細かなところはリキテックスのJET BLACKで塗りつぶしました。仕上がったレンズユニットを光にかざしてレンズマウント面から覗き込み鏡胴内部が真っ暗なのが理想的です。

デジタルカメラの撮像素子CMOSはフィルムに比べて極めて平らな表面で鏡のように強い光があたれば反射もします。レンズから入ってきた光を撮像素子面のみに届くように、他の余分な光はカットしてしまうのが理想ですが、なかなか難しいところです。古い引き伸ばしレンズであっても曇りやホコリがなくクリアな状態であればフードを使い鏡胴内部の反射対策など行うことでコントラストのあるしっかりした画像を得ることができると思います。