フォトグラファー宍戸眞一郎のブログサイトです。

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964リアスピーカーのエッジ張替え!!

エッジの劣化したリアスピーカー

Blaupunkt 964 リアスピーカー、 左は劣化したウレタンエッジのまま、右はエッジを取り去った状態

1990年モデル、ポルシェ964C4、走らせている時はエンジン音とメカニカルノイズ、タイヤの接地音などで十分。そもそも昨今の車の様に静かな車内ではない。サーキット走行時はフルフェイスヘルメット着用でも走行ノイズで満たされる。ただこれは走行状態の情報でもある。長距離旅行で高速道路を行く時は、速度を上げれば上げるほど空気を切りさく音以外、いがいに静かなのもこの車の本来の持ち味かもしれない。

最近、めったに聞く事のないカーラジオ(Sony製のカセットデッキ付き、時代を感じさせるが)にiPodを繋ぎ音出しするが、後ろの方からガサガサと妙な音が出ている。戻った後、リアスピーカーを外してみるとウーファーのウレタンエッジが完全に劣化、指で触るとボロボロと崩れ落ちる。無理もない30年間、下からエンジンの熱にさらされ、上からは日差しに晒されてきた訳だから。

外したリアスピーカーはBlaupunkt製の2ウエイ、ウーファー(フルレンジ?)は約10センチで小さなコイルとコンデンサー介してツィーターが繋がっている。テストで音出しするとツィーターは問題なし、ホームオーディオでもそうだが高音帯域用のツィーターはドーム型やホーン型が多く小型で素材的にも比較的劣化しにくい物が多いと思う。市販で車載用のスピーカーユニットが色々売られているので交換してしまうのが早く簡単で一般的な方法と思うが、自宅で使っているスピーカーでもエッジ張替えを経験しているので、ここはオリジナルBlaupunktのまま、外観も変えたくないのでエッジ張替作業することにした。

エッジ張替え後のBlaupunktリアスピーカー

エッジ張替え後のBlaupunktリアスピーカー

スピーカーユニット、なかでもフルレンジやウーファーは一般的にはコーン型で、素材にもよるがエッジやダンパーの経年劣化が起こるので修理やメンテナンスパーツ販売のショップがある。よく利用するのが FunTeqファンテックhttp://www.funteq.com/index.htm。今回はAR70型番のラバーエッジを二枚購入(一枚約1,500円)ウレタンタイプもあるが耐久性の高いラバーエッジで張り替えた。専用の接着ボンドと細いハケ筆は以前購入したものを使い、劣化した古いウレタンをきれいに剥がすのに細いカッターナイフがあれば問題なし。

リアスピーカーを外した車内後部

リアスピーカーを外した車内後部

上の写真はリアスピーカーを外した車内後部で中央に置いてあるスピーカーメッシュカバーは周囲が樹脂製で上から被せてあるだけなので薄いヘラもしくはマイナスドライバーを差し込み浮かせるようにしながら外した。後は四本のタッピングネジを外せばユニットごと外れるので意外と簡単。下の写真はエッジ張替えたユニットをリアに収めた状態でメッシュカバーを被せれば作業終了。

左右スピーカーユニットを取り付けた状態

左右スピーカーユニットを取り付けた状態

リアスピーカーを修理したところで気になったのは前方左右のドアに取付けられたスピーカーの状態。現状では音に問題ないと感じられるが(30年も経過しているのはリヤスピーカーと同じ)念のため状態チェックでドアの内装内張を外してみた。順序良く各所ネジを外していけば何処も破損なくはずすことが可能。昨今の車の様なチャチな樹脂製のピンではなく作業性は良い。

964のドア内張の内部状態

964のドア内張の内部状態

ドアフレーム側にマウントされているのは16センチ程のSony製コアキシャルユニット、ウファーコーン紙のエッジは布に樹脂含浸したような素材でやや劣化と硬化が感じられるが破損はしていない。フレーム周りのウレタンもまだ弾力性があった。ユニット自体を外したので軽く清掃して鉄板製のドアパネル内に厚めの梳毛フエルト貼り多少の吸音とデッドニング処理をした。外した内装パネル側にネジどめしてあるツィーターユニットはメーカー不明、小型のコーンタイプで聴感上異常なしと感じたので接続端子を磨きしっかり締めて再接続作業のみ。

一応音がまともに出るようになると気になるのが現在装備されているSony製1 DINサイズのヘッドユニット。現在は裏側にAUX端子があるので、そこにステレオミニプラグを結線して隣のグローブボックスに出しiPodを接続できるようにしたが、なにせ30年前のユニット、カセットデッキ付きでUSB接続やブルーツゥース、SDカードスロットなど今時のデバイス接続は当然の事ながら出来ない。音質そのものは決して悪くはないし、デザイン的にも比較的シンプルで964のダッシュボードにオレンジのイルミネーションカラーで違和感なく収まっている。さらにしっかりしたハンドルを上手く組み込んであり車から離れる時は盗難防止のため本体を引き抜き外せるようになっている。

1DINサイズヘッドユニット

Sony製の1DINサイズヘッドユニット

1 DINサイズのカーオーディオヘッドユニットで今時の機能を持つ機種を色々探してみたが、国産は総崩れ、まず前面のデザインが酷い状態で昨今の国産車フロントデザインの如くギラギラ、ピカピカで妙に装飾過多。964のダッシュボードでは浮き上がってしまい昔風に言えば”チンドン屋”なのだ。国内では1 DINサイズのカーオーディオヘッドユニットはもう見捨てられた存在かもしれない。海外ではまだシンプルで落ち着いた前面デザインの物があるようなので、探してみたいと思っている。

ターンテーブル再生 “マブチモーター”

久しぶりにレコードを再生しようとしたがターンテーブルが回らない。以前にも回転が不安定なこともあり、ついに完全に壊れてしまったようだ。ターンテーブルはテクニクスSP-12と言うダイレクトドライブタイプで、1974年発売のものですでに45年前の製品なので修理は不可能とあきらめ使えるしっかりした金属製の構造部材のみ使用して、以前から使っているサエクのトーンアームやMCカートリッジ(DENON-DL103など)、昇圧トランスなどはそのまま使用してローコストでベルトドライブのターンテーブルとして蘇らせる作業に取りかかりました。
最近テクニクスよりSP-10R(DDターンテーブル)が発売され80万円の???プライスタグが付いています。SP-12も当時¥45,800でしたが・・・

昔から集めたLPレコードもそこそこの枚数があり、中にはCD化されていないものも多く、それらを高音質のデジタルデータ(DSD)として保存し気軽に楽しむことが目的です。
ダイレクトドライブターンテーブルは多少の構造の違いはあれ、プラッターないしハブの中に直接モーターを組み込みコントロールユニットで回転制御を行うものでその基盤の素子(コンデンサーやダイオードなど)に何らかの劣化や接触不良が起こると制御できなくなり、専門家でないと修理も難しく、そもそも一般家電製品の電子基板の耐久性はあまり長くないように思います。修理なども基板ごと交換で国内製品は8年くらいしかアフタケアパーツを保持しません。(数年保てば良いと言うような使い捨て商品が多いと思います)ダイレクトドライブターンテーブルのモーターは必然的に低速回転でどんなに多極化しても回転のコッキングがあり、モーター別体でベルトドライブや糸ドライブにした方が回転も滑らかで振動などからも有利となりメンテナンス性も上がり、長年の使用に耐えられるものになると思います。

DC12vモータで回す!!
ターンテーブルの回転駆動モーターは一般的に交流のシンクロナスモーターを使うことが多いようですが、安く仕上げるため手元にあった壊れたテープデッキの小型DC12vモータを利用して(廃品利用)、回転が高いのとトルクがあまりないよう感じたのでギヤを組み込み1/4に減速し同時にトルクアップを狙い試作しました。ギアを組み込むことでギヤノイズが出ます。またDCブラシモーターもパルスノイズ発生がありコンデンサーをモーターに直付けしてそれらが音楽信号に影響しないよう上手く遮断する必要があります。

DC12vモーター試作と本番

この試作モーターにパルス回転制御を加えてテストした結果、回転速度は33.1/3でまあ安定しますが、レコード盤に針を落とすとその瞬間回転がブレて不安定になることが判明。これはモーターの回転数をだいぶ落としていることとトルク不足による事が判明。トルクの高いRS-755 DC12v 無負荷回転5,600rpm(マブチタイプ)¥1,330を購入し組み替えて問題なしとなり、モーターユニットがベルトのテンションでも動くことないようにナマリのプレートで十分な重量になるよう組み上げました。またモーターとギヤの振動を床に伝えないようゲルとゴムマットの二重構造インシュレーターで支える構造です。マブチモーターと言うと模型用の安価で小さなものをイメージされる方も多いと思いますが、DCモーターとして産業用途で相当多くの種類があり自動車関連用途は12ボルト仕様です。回転数も種々ありますがトルクの高いものはドリルにそのまま使えるような物もあります。

構造上モーターユニットをターンテーブル本体の外側に置かず内側でハブとゴムベルトで駆動するためターンテーブル本体に接触しないよう切り欠きを大きくしてフロート状態にしています。なお、使用したゴムベルトは「カセットデッキ修理パーツ平ベルト」と言うものでTECHSPACHブランドで予備を入れて2本アマゾンより購入420×2で¥840円でした。ちなみにゴムベルトで連結されているハブには内部に多極のモーター回転子が組み込まれていましたが、それも必要ないので取り払いました。同じくハブ内にあるリングマグネットは接着されていて重量もあるので取り外ししないでそのまま使っています。

組み込んだモーターとSP-12のハブ

DCモーターの回転制御
ターンテーブルの要は振動やノイズの影響を受けず一定速で滑らかに回ることにつきます。簡単なようでこれが実に難しい。最近レコードが見直され一時姿を消したレコードプレイヤーが商品化され色々なメーカーから発売されるようになり、中には数百万円する驚くような回転精度を出しているハイエンド製品もあります。そう言った意味からすればDC12vブラシモーターでターンテーブル駆動は論外の意見もありでしょうが、ありもの利用のローコスト再生が目的なので・・・
DCモーターの回転制御はパルス変調方式のユニットで行います。今回は「PWM基板モジュール スピードコントローラー 無段階速度制御 0-5V PLC DC6V-90V 15A 1000W ONKYOU」と言うものをアマゾンで購入(¥1,490円)

DCモーター回転制御と電源スイッチ ボリュームは別物

この基板モジュールで問題が一つ、付属のボリュームBカーブ100kオームはごく一般的回転角度で安価なものなので俗に言うガリもあり安定した微調節ができないことが判明。秋月電子通商のヘリカルポテンションメーター(ヘリポット)100kオーム10回転型¥700円を購入し入れ替えました。電源供給は手持ちにいくつかあるACスウィチングアダプターの中から12ボルト5アンペアのものを使っています。

付属のボリュームと秋月電子のヘリポット

完成したローコスト再生プレイヤー

SP-12のターンテーブルプラッターは外周に回転数監視のストロボスコープドットパターンが刻まれているので百均ショップで買ったLED豆電球をすぐ横に配して再生中に監視していますが重めのレコードスタビライザーを乗せても、針の上げ下ろしをしても安定して回転しています。モーターのギヤユニットからのノイズは噛み合わせを微調整しても若干出ていますが、カートリッジから出力された信号には全く影響ありません。audio-technicaのインシュレーターも以前からあるもの利用で、今回は5,000円以内でターンテーブル再生できました。
レコードからのデジタル収録にはコルグのDS-DAC-10Rを使っています。DSDデータはアナログレコードに刻まれた豊かな情報量を再現できるようで気に入っています。