フォトグラファー宍戸眞一郎のブログサイトです。

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甦るclassic Porsche

Classic Porsche full restoration

国内で最初にポルシェのインポーターとして活動を開始したミツワ自動車の雑誌広告制作に携ったのでポルシェの種々車種やその整備状況の現場で取材及び撮影をする機会を得た。僕にとってこの仕事に拘ったのは幾つかの経緯がある。話せば長くなるのでいくつかの偶然とだけしておこう。

国内での外国車のインポート、昔はメーカー本社と協議し国内での販売権を獲得した企業が行なっていたが、最近では海外のメーカーがそれぞれの国に自社直轄の販売拠点を置き管理するようになったので国内資本の大手インポーターはその多くが消失した。また世界中の車メーカーが合併や吸収、提携など盛んに行い、一昔前とは様変わりしている。ミツワ自動車もその流れの中で空冷ポルシェを中心に販売とメンテナンスを行うMIZWA classicを立ち上げた。

甦るclassic Porscheとタイトルしたが、昨今は化石燃料から電気エネルギーに移行とか言われ車も家電商品化進行中で、この先暫くで様変わりするかも知れない。個人的には永らく続いた化石燃料使用の内燃機関はエネルギーの全体的な状況を見れば、そう簡単に移行できるとも思わないが・・・。

車のデザインも大きく変化してきた。使用素材の変化と生産コストの削減、何より人の手から離れロボットの作業場と化したメーカー工場で作られる車は家電商品と同じく売れ筋のコストパフォーマンスの高い??単なるトランスポーターと化し、どれも皆似た様なフォルムとデザインになり以前と比べると肥大化してしまった。独特の形と無駄のない締まったフォルムを持ち個性的な雰囲気を醸す車はかなりの少数派と言えよう。車に高い趣味性を求め自らの感覚と感性にあったフォルムとデザイン、そしてその個性的な走行感覚と永く付き合える車を今日求めようとすれば時間を遡って探す事になる場合が多く、運よく出会っても相当手を入れないと本来の性能を発揮し走ることが不可能な車も多い。

それはPorscheに限った事ではなく国産車や欧米車も同様で、まさに愛すべき往年の車は数こそ少ないが再生修理作業が世界中で行われている。(金銭的余裕とかなりの時間が必要だが)MIZWA classicも往年のPorscheを扱う拠点の一つだ。
下のスライドショーはオーバーホールやレストア作業の数ショットから組み立てました。ご覧下さい。

  • エンジンパーツ洗浄
    分解したエンジンパーツの洗浄
  • 新品のクランクシャフト取付
    Flat-6 新品のクランクシャフト取付
  • クランクケース組立
    Flat-6 クランクケース組立
  • 組み上がったFlat-6
    オーバーホール後に組み上がったFlat-6
  • 356ゼニスキャブ オーバーホールと調整
    356ゼニスキャブ オーバーホールと調整
  • ボッシュ メカニカルポンプ
    ボッシュ メカニカルポンプの分解修理
  • バルブあたり調整
    シリンダーヘッドのバルブあたり調整
  • 回転計の組み付け
    オーバーホール済み回転計の組み付け
  • 古いアンダーコート剥離
    ボディパネル裏側の古いアンダーコート剥離
  • 911ナローの天井張替え
    911ナローの天井張替え
  • 全塗装作業
    911ナロー 塗装ブースにて全塗装作業

最近の車は使用素材が変化したと書いたが、樹脂(プラスチック)素材の一体モールドパーツが多く使用されている。布や革、レザーなど内装材は張替えが効くが樹脂モールドパーツなどは故障や劣化したら廃棄しかない。90年代やそれ以前の頃までの車は重要な部分に樹脂パーツをあまり使用していない。また使用している鋼板も鈑金修復作業可能だ。要はある意味長持ちする様に造られていたと言うべきか。半世紀前に製造された車でもその気になれば修復、レストアが可能だ・・・。

Air-cooled flat-6

上の写真はオーバーホール途中の911エンジン、空冷水平対向6気筒、これが車の後部フロアレベルの位置にに搭載されている。メンテナンス時も車をリフトアップし下え降ろす様に取り出す。ポルシェは非常に低重心である理由はボディ設計にもよるがこのフラット6の形状とその取付位置による処が大きい。

下の写真はウェーバー ダウンドラフト トリプルチョーク キャブレター。随分と使い込まれている様子がエアファンネルの色味などから判るが、しっかり調整済みである。(エアクリナーなど外してある)アクセルペダルを軽く踏めば空気を吸い込む吸気音と共にフラット6は瞬時に吹け上がる。生き物のようなキャブレターを好むポルシェフリークも多い。

Weber downdraft carburetors

大阿原湿原の季節

朝の大阿原湿原

朝の湿原 2020年8月

大阿原湿原は長野県富士見町の入笠山近くにあり、「テイ沢の源流にある本州最南端の高層湿原で、面積約12ha標高1.618m、3億年前に形成され湿原から草原へと移行しつつあり湿原としては老年期の湿原」とガイドにあります。中心部に水の流れがありますが見渡しは草原のようで季節により様々な色あいの表情を見せてくれます。木道もよく整備されグルリと一周するにもそれほど時間がかからず、途中までなら車椅子で行く事もできます。

湿原専門に写真を撮っている訳ではないが、一度訪れたらその広がりの規模と様々な植生が見せる表情と色合い、ディテールの魅力、場所により異なる景色に惹かれて幾度か訪れているので撮影した写真を載せていきます。

大阿原湿原駐車場より写真

9月 早朝の湿原、駐車場より a7rⅢ FE 4/24-105G

大阿原湿原 11月

11月の湿原 NIKON D800E

大阿原湿原、朝霧

9月 早朝の湿原 a7rⅢ FE 4/24-105G

5月の湿原 NIKON D800E Distagon21mm

9月 大阿原湿原の朝霧

9月 湿原の朝霧 a7rⅢ FE 4/24-105G

5月の湿原 NIKON D800E Distagon 21mm

大阿原湿原 11月の雪

11月の湿原 Canon 5DⅡ EF24-70mm

大阿原湿原は標高1,600mにあるので緑で輝く季節は以外に短く、5月と11月に撮影した上の写真4点は少々寂しい色あいになっていますが、この微妙な色合いの重なりと植生の織りなす独特なディテールがこの湿原の魅力でもあると思います。7月から8月にかけて周りの森の深い緑と湿原の明るい緑と黄緑のコントラストのある景色が楽しめます。9月半ば過ぎには少し紅葉が入り美しく微妙な色合いを見せ、晴れた日の早朝には湿原の上に霧が現れる事もあります。大阿原湿原は規模もそれ程大きくなく湿原としての知名度はそれほど高くないと思います。そのせいかハイカーや観光客を多く見かける事もなく、季節外れに訪れると殆ど人に会う事もなくゆっくりと観察出来るところも気に入っています。富士見町から入笠山を目指せば車で湿原の駐車場まで行く事が出来ます。(季節によりマイカーの時間規制が行われています。早朝に行くのがベストです。)湿原各所で季節の織りなす色合いとディテールを下のスライドショーで紹介します。

最近はスマフォカメラも進化してかなりしっかりした画像として旅の記憶を記録するのも可能ですが、こと風景写真となると簡単に撮れてしまう事とかなりの広角レンズなので景色を切り取るのが難しいこともあり、(最新のiPhoneではやや望遠系のレンズ搭載のモデルも存在しますが)見た時に感じた感動やそこにあった空気感、温度や湿度、時の流れの一瞬の姿など一枚の写真に収めることはなかなか難しい事です。もちろん高性能なカメラでも同様ですが、3億年の年月を経て今日の表情を見せる大阿原湿原は今でもゆっくりと季節や時間でその表情を変化させています。撮影する前に良く観察し対峙すると、時々自然の方から何か語りかけてくるような気がする時があります。それに応えられるような写真が撮りたいと思っています。

尚、このページに掲載の写真は撮影した大阿原湿原写真の一部です。自身のWebサイトに湿原のページがあります。ご覧下さい。

大阿原湿原 5月の白樺とシダ

湿原 2005年9月 Canon 1Ds MarkⅡ 24-70mm

 

Leipzig Hauptbahnhof ライプツィヒ中央駅

No,1 Leipzig Hauptbahnhof 1912.9

ドイツのライプツィヒ中央駅を再び訪れました。以前に来た時にその佇まいがとても印象的でした。ヨ-ロッパでは、列車が行き止まりになる構造の駅(頭端式駅)がまだ多く存在します。ライプツィヒ中央駅はその頭端式駅の中ではヨーロッパ最大と言われています。日本では昔の上野駅が同様の成り立ちで、旅に出るとき、また旅から戻るときこの頭端式鉄道駅は旅情と言うか、その感覚がとても印象的です。

資料によると1909年に建設を開始して1915年に開業と言いますから105年前から今に続く訳で、多くのヨーロッパの中央駅が戦火で消失した中でライプツィヒ中央駅は建設当初の素晴らしい造りを今に伝えてくれます。

No,2 Leipzig Hauptbahnhof 1912.9

上の写真は右端のプラットホームで昔の蒸気機関車や客車が展示され、横には駐車場まで併設されています。見事な鉄骨構造の骨組みと板張りの天井、磨き込まれたホームの床が魅力的です。プラットホームには誰でも自由に出入りできます。駅のプラットホームは列車に乗り降りする人のためだけにあるのではなく送り迎えの人達も利用します。以前シュツッガルトの駅で(ここも頭端式駅)バラの一凛を後ろ手に持った若者を発見しました。到着した列車から降りた女性に手渡し抱擁していました。印象に残るシーンでしたが、駅の施設は誰でも自由に出入りできる必要があると思います。

No,3 Leipzig Hauptbahnhof 1912.9

上の写真は左端の工事中のプラットホームから横方向に構内を撮影したもので、現代の建築には無いアーチ状の複雑な鉄骨構造と板張りの天井が美しく見えました。

 

No,4 Leipzig Hauptbahnhof 2019.10

No,5 Leipzig Hauptbahnhof 2019.10

上の写真二点は最初の写真のエントランスホールから続くプラットホーム手前の広い通路?です。石貼りの大きなアーチが印象的です。地下に続く二層のショッピングモールは後に改築して作られたもので、こちらに降りると時間軸が急に現代と言う感じで面白いです。

No,6 Leipzig Hauptbahnhof 2019.10

上の写真は線路側から駅建物を見たところです。まだ全体が画角に入っていませんが(これで半分くらい)飛行機の格納庫ようなアーチ構造とその広さ、大きさが見えると思います。

ライプツィヒ中央駅は正面の建物自体も魅力があり、また昔ながらの待合室も良い雰囲気なので機会があればまた訪れて撮影したいと思うところです。

写真No,1、No,4~No,6はα7R3/Super Wide-Heliar 15mm、写真No,2、No,3はNikonD800E/24mm(ズーム)での撮影です。