フォトグラファー宍戸眞一郎のブログサイトです。

カテゴリー: Camera 機材 (page 1 of 1)

SONYのリモートコマンダー延長ケーブル

ソニー製カメラ用レリーズ三種類の写真

SONYリモートコマンダー三種

SONYのα7シリーズカメラを使い始めてから三個のリモートコマンダーを所持しています。本来は確実に動作するシャッターレリーズが一個あれば事足りる訳が、なぜ三個になったか、また改造の理由など書いて行きます。

上の写真一番左が最初購入したRMT-DSLR2でテレビのリモコンなどと同じで赤外線通信なのでカメラの受光部に向けて操作する方式です。α7シリーズカメラの受光部は左の写真のようにグリップ部にあるのでカメラ後方からの操作には反応しません。自撮りや記念写真には使えても撮影の仕事ではシャッターレリーズもムービーのスタート、ストップも確実性がなく使いずらいので最近は使っていません。操作ボタンも多く多機能なようだがシャッターレリーズとして考えるとアマチュア向けの玩具のように感じる。

次に購入したのが写真中央のRM-VPR1で、これはSONY独自のマルチ端子につなげて使うリモートコマンダー。赤外線通信や無線通信ではなく直接電気的に繋がるので操作の確実性は担保される。使い始めるとケーブルが80センチあり三脚等にカメラ固定した場合、個人的にはブラブラと長すぎ邪魔になる。(三脚のパン棒に取り付け本体を差し込めるフォルダーが付属するがパン棒のないボール型自由雲台などでは使えない)カメラに差し込みそのままブラ下げて使うには30~40センチのケーブルがちょうど良い。

また、個人的にカメラから数メートル離れた場所で操作したい事もあり、SONYへ延長コードの用意があるか尋ねると無いとの回答。自分の使い方に合った長さのケーブルを自作することにしました。写真中央のRM-VPR1は自作ケーブルと延長用のコネクターが付いた状態です。

SONY RM-VPR1と自作延長コード

RM-VPR1と自作延長コード

上の写真中央はRM-VPR1の付属80センチコードを途中で切断して8ピンのコネクターを接続した状態のコマンダー本体で、左側にあるのが約25センチ程度のマルチ端子コードでこれも付属コードを切断し長さ調整した後にコネクターを接続したもの。普段はこのセットでシャターレリーズとムービーON/OFFを使っています。右側の太めのコードが約3メートルの延長コードで秋葉原で仕入れた8芯のシールドケーブルの両端にコネクターを取り付けたものです。

8ピンコネクターのアップ写真

8ピンコネクターのアップ写真

写真は8ピンコネクターで8芯のシールドケーブルと同時に秋葉原で仕入れたもので芯線をハンダ付してからアウターチューブを被せ完成。SONYのマルチケーブルの仕様に詳しい訳では無いので端子内部をよく見るとUSBケーブルと違い手前に10ピンが並び奥に5ピンが見える。RM-VPR1ではどのピンを使用しているのか解らないので付属ケーブルを切断して8芯であることを確認。色分けされているので間違わずに結線していけば途中延長も可能でした。

ちなみに、6メートルの延長ケーブルも作りましたが、動作不安定で使用していません。前述のようにSONYのマルチケーブルは手前の10ピンと奥の5ピンの仕様が解りません。RM-VPR1の8芯接続では電力供給がないのかも知れません。SONYで延長コードの用意が無いのはこの辺の理由によるものと自分では推測しました。

最後に購入したのが最初の写真、右側にあるRMT-P1BTリモートコマンダーで、一々カメラに接続するのも面倒なのでケーブルもなく取り出して即使えるところが良いです。無線通信(Bluetooth)で通信範囲5メートルとの事で今のところ遅延もなく問題なしで使っていますが、仕事で条件にもよるがカメラから離れてレリーズ操作する場合は確実性を担保するためRM-VPR1を使います。

NikonD800レリーズ端子とコード

NikonD800レリーズ端子

左の写真はNikon D800Eのレリーズ端子部分で、コードを繋ぎ金属製のロックリングで固定した状態。このようにシャッターレリーズは物理的にも電気的にもダイレクト接続が(仕事で使うときは特に)最も確実。この D800Eのレリーズ端子の金属製のロックリングは冬場グローブを着けたままだと回し難く、その点Canonはワンタッチロックで使い勝手は良かった。両社ともメーカー製のかなりの長さのある延長ケーブルの用意があり撮影現場の状況の把握があったのだろうと思う。何れにしてもチョット力がかかっただけで抜けてしまうSONYのマルチ端子よりは確実な仕様であった。現在Nikon、Canonともミラーレス機に移行しているので現状の詳細は不明だが。

NikonのMC-30とプロンターレリーズ

NikonのMC-30と昔のアナログレリーズ

上の写真左はNikonの最もシンプルなMC-30型シャッターレリーズで大きめのレリーズボタン、側面にバルブ撮影時に使うロックスライドボタンがあり、使い勝手が良い。右側は長い間使って来たレンズシャッター用のレリーズで(今は使う事ないが)このような単純な機能と確実性があればシャッターレリーズとして十分。

 

α7 Eマウントに旧Nikkorレンズ シフト&ティルトマウントアダプター

手持ちのSony α7RⅢに、これも以前から手元にあるAI Nikkorの数本を使うためにシフト&ティルトマウントアダプターを手に入れました。RAYQUALのNFG-SαEアダプターは以前から使っていて、品質性能とも満足していたが、レンズをティルトさせることでピント領域をコントロールするのが主な目的でFotodiox Pro TLT ROKR – Tilt / Shift Lens Mount Adapter  NIK(G)-SN Eを選びました。

このアダプターは左右に10mmずつ、トータル20mmのシフトと10度のティルトが可能で30度毎にクリックのある360度の回転を内蔵。GタイプのNikkorを使うための絞りコントロールの目立つ青色リング付きです。Fotodioxでは『要求の厳しいプロのための強化されたクラフトマンシップと高耐久性の構造』、『限定2年間のメーカー保証』と言っている。Fotodioxに直接オーダーして10日で届き、価格は$199.95(約¥21,000)送料込みで約¥25,000でした。

下のスライドショーは撮像面(Cモスセンサーやフィルム面、図ではグレイの垂直線)に対してレンズティルトを行なった場合、レンズの光軸線の動きを個人的にイメージして作ったもので、一般的にビューカメラ(4×5判など)ではレンズの光学的芯のあたり(絞り機構の位置あたり)を中心にしてティルトを行いますが、マウントアダプターにおけるティルトはレンズの光学的芯よりもずっと後方にズレたあたりを中心にしてティルトが行われます。(レンズ構成断面図はNikkor-H AUTO 50mm F2からの引用)

このようにマウントアダプターによるレンズティルトではレンズの中心からズレた部分を使う事になると思い、解像度や結像状態に疑問と不安がありましたが、かなり絞り込んで(f8以上)使う事もあり実際の使用では問題ないことがわかりました。(4×5判カメラなどではティルト角度が30度近くある場合があるが、このアダプターは10度までで許容範囲を読んだ設定かも知れない)

国内ではこの手のマウントアダプターはKIPONのTILT&SHIFT NIK-NEX が使われるケースが多いようだが、シフトは左右に15mm、ティルトは12度と言うことでプレートが左右に出っ張り少々大きいし、レンズを付けた状態では一体感が今ひとつと言う感じ。TLT ROKR – Tilt / Shift はシフト左右に10mmだがNikkorレンズの外径より若干太い感じもするが一体感とおさまりが良いと思う。(トップの写真参照)

下のスライドショーはカメラにマウントした状態での左右10mmずつのスライドで、ガタや緩みもなくスムースに動きます。ガイドの上にあるレバーは1mm単位でノッチがあり細かくコントロールでき、押し込んだ状態ではスッと動き、内面反射防止処理も行われています。

Zoom Nikkor 35~70mm 1:3.5

Zoom-NIKKOR 35~70 1:3.5

Zoom-NIKKOR 35~70 1:3.5

このZoom-NIKKOR 35~70mm 1:3.5レンズはF3時代(1981年)に手に入れたもので最近はほとんど使うことがなかったレンズですが、その作りと性能の良さは解っていたので TLT ROKR – Tilt / Shiftアダプターと一緒に現役復帰です。35~70mmは二倍ズームでしかありませんが、特別な条件を除きほとんどがこの範囲で十分であり、アウトドアでの撮影もこの範囲で撮影していることに、このレンズを使い始めて再確認でした。

Zoom-NIKKOR 35~70 1:3.5はどの焦点距離でも単焦点レンズにひけをとらないシャープでしっかりした描画が得られ、昨今のズームレンズのように全長が伸びたりする事なく内部でレンズ群が微妙に動き焦点距離を変化させています。70mm時のみマクロ機能があり35cmまで寄れるが70mm以下では最短撮影距離70cmは少々残念。

この35~70mmはフィルム時代のレンズなのでデジタル処理に関した種々のデータがないので歪曲収差、像面湾曲、非点収差、周辺減光など見るために35、50、70mmにて簡単なテストをしました。絞りはf11でチャートを撮影しましたが歪曲収差、像面湾曲はわずかで補正の必要はあまりないようで、優れたレンズ設計がなされています。イメージサークルテストで35mm時はギリギリの結果が出たように四隅に周辺減光が僅かにあります。下はその結果画像のスライドショーです。

35mmレンズのイメージサークルテスト

レンズをティルト&シフトして撮影する際に重要なのはそのイメージサークル(使用可能な円形の結像面のサイズ)の大きさで、中判(6×6)や大判(4×5)レンズはイメージサークル表記があるものが多いが、35mmレンズのイメージサークルは専用という事もあり基本的に公表されていない。一部TSレンズは表記あるものもあるが。(CanonのTS-Eシリーズは67.2mm、流石に高価だけのことはある)特にシフトはレンズの中心軸が大幅に移動するので余裕のあるイメージサークルが必要となる。SONYにはまだEマウントのTSレンズのラインナップがないが、NikonやCanonで焦点距離の違う三本のTSレンズを揃えたらとてつもなく高価な買い物になってしまう。(ただし、上記で書いたようにレンズ設計時にティルト&シフトの機構を組み込む構造なので光学的中心軸の位置などは考慮されものになっている)その点、35mm一眼レフの普通のレンズをティルト&シフトレンズに変換できるアダプターはコストパフォーマンス抜群ではないだろうか。

下の図は各レンズを最大絞りf22にして実際にシフトさせカメラ液晶モニターで目視で確認したおおよそのデータを元に作図したものです。真ん中のグレイの方形が36mm×24mmの所謂35mmフルサイズです。

 

Zoom-NIKKOR 35~70 1:3.5は約55mm時に最大のイメージサークルとなりTLT ROKR – Tilt / Shiftアダプターで最大限(左右に10mmずつ)シフト可能で(図の赤丸部分)35mm時(図の黒丸部分)はほぼギリギリでわずかなシフトでも画像のケラれが隅に発生します。その他、手持のAF NIKKOR 35mm 1:2D、AI NIKKOR 50mm 1:1.4、AF-S NIKKOR 14~24mm 1:2.8 G EDもテストし、結果がほぼつかめ何れにしても35mm用レンズは35mmフルサイズフォーマットに対して若干の余裕ある程度のイメージサークルで作られていて35mm用のレンズを使い大きくシフトする場合など、例えば建物やインテリア撮影時はAPS-Cサイズフォーマットで行うのが無理なく良い結果が出ると思います。この結果は事前にある程度予想していたので最大(左右に15mmずつ)シフト可能なKIPONのTILT&SHIFT NIK-NEXは35mm用のレンズ使用では少々オーバースペックで価格も3万円前後すること、及びカメラにレンズ共々装着したハンドリングと全体のバランスなど考慮してFotodiox Pro TLT ROKR – Tilt / Shiftアダプターの購入となった訳です。

最後に撮影した写真を紹介します。

下のスライドショー二枚の写真は長野県富士見町の入傘山、大阿原湿原で早朝に撮影、Zoom-NIKKOR 35~70 1:3.5使用で絞りはf8~f11、ピント煽り(ティルト)を効かせることで無理なく手前から奥まで自然にシャープな描写ができていると思います。(35mmフルサイズのレンズでは最小絞りで回析現象が起きピントが甘くなる場合が多いのでティルトを効かせてピント面を調整します)

下の写真は、同じく大阿原湿原で早朝に撮影、Zoom-NIKKOR 35~70 1:3.5使用で焦点距離は約60mm、絞りはf8でアダプターの左右シフトをフルに使い2カット撮影してつなぎパノラマとしたもので、カメラパンニングではなくレンズシフトなので違和感なく自然につながったと思います。

朝の湿原パノラマ写真

朝の湿原パノラマ

Sony α7シリーズの 電源対策

Sony α7シリーズのカメラを使うようになってから、その電源バッテリーが通常使用で全くもたない。最初に手に入れたα7ⅡはNP-FW50リチュームバッテリーで、これは以前からSonyにあるAPS-CフォーマットのNEXシリーズ、その後のαシリーズなどに使われていたバッテリーで35mmフルサイズのミラーレス一眼となったα7シリーズの電力消費量に対しては適切な選択ではなかったようだ。
ミラーレス一眼はそれまでのデジタル一眼レフと違い、主要機能は全て電力を必要としている。さらに手ブレ補正、高速連写、AFの駆動や制御、HDや4Kのムービー撮影機能など、それらを一度機に使うわけではないが、7.2V 1020mAhのFW50では仕事で使えるレベルではない。その後α7RⅢなどが発売となった時期にNP-FZ100 7.2V 2280mAhリチュームバッテリーとなり電力の持ちはかなり改善されたが、それでも仕事で長時間にわたっての使用には心許ない状態だ。
FW50とFZ100は7.2Vの電圧は同一だが、サイズが全く違うので互換性はなくFW50を使うカメラには対応できないのも残念としか言いようがない。バッテリーを複数個用意して取り替えれば良いと思うが、その間電源が落ちることになることや、純正バッテリーはかなり高価であること、NPA-MQZ1Kと言うマルチバッテリーアダプターキットもあるがこれもまたかなりの高価(4本のNP-FZ100を積んでいてかなり大きい)・・・

外部電源3タイプ

用意した外部電源3タイプ

そんな訳で内蔵バッテリーに頼らない外部電源供給の用意が必要となる。外部電源は現在手元に3種類あり、最初はα7Ⅱ用にSony AC-PW20 AC100vを手に入れた。これはDC7.6V 2.0A出力のスイッチングACアダプターとFW-50対応のDCカプラーがセットになったものでスタジオなどAC100Vのある環境で使用する。電源部とDCカプラーはDCジャックコネクターで切り離せるように改造してある。(電源コードも含め上の写真左側)その後CASE RELAY FW50対応DCカプラー付きを入手。これはAC100Vのない野外などでモバイルバッテリーを繋ぎ長時間のカメラ使用を可能にするものでムービー撮影には必需品。CASE RELAYは本体にリチュームバッテリーを内蔵していてモバイルバッテリー交換時も電力供給が途切れることがないとしているが、この内蔵バッテリーが劣化してくると不具合が出る事がある。(上の写真右側の上)比較的最近になってAC-FZ100パワーバンクusbケーブル+NP-FZ100をAmazonから約3,900円で入手した。その第一の目的はα7RⅢの長時間使用、これはAC100vのusb電源アダプターがセットになっていてそれを使わない時はモバイルバッテリーのusbから電力供給できる仕組みになっている。(上の写真右側の下と下の写真)usbの電圧は5V程度なので7〜8ボルトに上げる回路が途中に入っている構造。ただし昇圧するためモバイルバッテリーの容量は20000mAh以上ないと不安定になる可能性あり。それはどう言う事かと言うとモバイルバッテリーのusb出力電圧は基本5vだが電流が低いことがあり、2アンペア以上の電流を必要とするようだ。同梱の説明書には推奨の対応モバイルバッテリーがいくつか紹介されていた。

NP-FZ100 DCカプラー

AC-FZ100パワーバンクusbケーブル+NP-FZ100

3種のDCカプラー

3種のDCカプラー同一ジャックに統一

上の写真はカメラのバッテリー室に差し込むDCカプラー3種類で左からSony製FW50タイプ、中央はCASE RELAY FW50対応DCカプラー、右がAC-FZ100パワーバンク付属のFZ100対応DCカプラー、Sony製のみケーブルを途中切断して標準DCジャックコネクター(内径2.1mm 外径5.5mm センターピン+)を繋ぎ、全て同一規格にして電源供給の汎用性を確保した。(SonyだけでなくCanonやNikonもバッテリー電圧(電源電圧)はDC7〜7.5Vで電流も1.5〜2Aくらいでほぼ同じ)これでSony AC-PW20をα7RⅢでも使用可能となる。

DCカプラー内部

DCカプラー内部、内蔵チップの違い

カメラのリチュームバッテリー接続端子をよく見ると3〜4ピンあるが電力供給だけであれば2ピンでOKのはず。残量表示などデータを送るためのピンが追加されている。上のDCカプラー内部写真を参照。ソニー純正とそうでないものはチップ構造が違い、カメラ側に送るデータにも違いが出る。AC-PW20を使用時ソニー純正のDCカプラー装着ではカメラ起動時の最初から電池残量表示は表示されない。同様にCASE RELAY FW50対応DCカプラーではカメラ起動時に電池残量表示は52%と表示され、その後表示は消えカメラは継続して使える状態になる。そのように純正品でない中華製などのDCカプラーやリチューム互換バッテリーはチップ構造が違うので、たとえ電力容量がキッチリあったとしてもカメラの電池残量表示はあまり当てにしない方が良いと思う。

Sony α9 α7RⅢ α7ⅢなどNP-FZ100バッテリーを使うカメラで外部電源を検討しているのであればAC-FZ100パワーバンクusbケーブル+NP-FZ100を使うのがコストパフォーマンスは高いと思う。まだ使い始めて日が浅いので耐久性などについては検証できていない。耐久性や不具合があれば、その時点で追記する予定です。

iPhone、iPadをカメラモニターに!! Accsoon CineEye

Accsoon CineEye & Sony a7r3

知り合いの映像制作ディレクターから「良いものがある」との事でAccsoon CineEyeを使うようになりました。以前からそうですがデジタル一眼で撮影の際に写真撮影ではファインダーを主に使いますが、全体の構図を確認したり種々の設定を行う時、液晶モニターを使いますがほとんどのカメラは3インチ程度の大きさで私としてはとても小さく決して見易いとは言えません。(歳のせいもあり老眼ですから余計に)また、この液晶モニターは可動式になっていて角度調整などできますが、その可動範囲も限られカメラ本体から外す事はできず使い勝手が良いとは思えません。カメラを縦位置で構え極端なローアングルやハイアングルにした時にはファインダーも背面液晶モニター役に立たなくなります。特にムービー撮影時は5インチ以上のサイズで任意の場所に取り付け撮影画面全体をしっかり確認できる外部モニターが必須になります。

以前からSony a7シリーズを使っている事もありHDMI接続のSony CLM-V55 を使っていましたが、解像度、輝度ともに低く使い勝手は今一つと言ったところで、突然起動しなくなり修理は基盤交換で15,000円ほどかかると見積もりが出て、使用を諦めました。(CLM-FHD5と言うS-Log用Lut内蔵、解像度1920×1080の新型もありますが・・・)

仕事でムービーの撮影を行う場合、見やすいモニターは必須ですが映像シーンを複数の人間で(ディレクター、エディター、クライアントなど)共有する必要もあり、iPhne、iPad、その他モバイルデバイスは普及して所持している人も多いのでそれらを活用すれば別途モニターを用意する必要もなくAccsoon CineEyeはローコストでその環境を作り出すコンパクトで秀れたHDMIトランスミッタだと思います。

Accsoon CineEye 本体とiPhoneフォルダー

Accsoon CineEyeと自作iPhoneフルダー

Accsoon CineEye本体と自作のiPhoneフォルダーです。本体はクレジットカードとほぼ同等のサイズ90×63mmで厚みは21mm、バッテリー内蔵で175g、5G WiFiで電波到達距離は100メートル(障害物なしメーカーの表記)4台のデバイスで同時モニタリング可能としています。HDMI入力は1080p/720p/480p及び60~23.9fpsと言ったスペックです。バッテリーの持ちは3.5時間で表面にある4個のLEDで残量表示し側面にあるUSBタイプCポートから充電、給電します。(USB-C/Aの充電ケーブル、HDMIケーブル3タイプは本体に付属)WiFi接続で問題となる映像転送の遅延ですが60ミリ秒(メーカーの表記)と僅かでムービー撮影でも今のところ問題なしで使っています。Accsoon CineEye本体はAmazonから26,800円で購入、カメラシューマウント用Soonwellのミニボールヘッドは”ギフト”で付いてきたものです。自作のiPhoneフォルダーはAmazonから購入した「2WAYスマートフォン・iPhone携帯ホルダー」一個397円を2mm厚のアルミ板に二箇所穴を開けCineEye本体と一緒にカメラマウント可能にした物です。

最近AccsoonからCineEye Airという更に小型で軽量なモデルが発売されています。バッテリーが内蔵されていないのでUSBタイプCで外部給電仕様、3台のデバイスで同時モニタリング可能と発表されていて100gをきる軽さで価格も15,000円程度ですからプライベートでの使用などはCineEye Airで十分かなと思います。

Accsoon アプリ

上の写真はAccsoonのアプリインストールApp Storeの画面です。(Google PlayでもOK)このアプリをスマホなど各デバイスにインストールしてからCineEye本体の左側面にある電源ボタンを入れます。表面にあるA文字のようなイルミネーターが赤に変われば電波発信しています。次にスマホなど各デバイスのWiFi設定からCineEyeのWiFiに切り替えます。最初はパスワードを要求されるので12345678と入力すれば繋がります。その後Accsoonのアプリを立ち上げ、上の写真の下の欄にあるようにCineEyeのページヘスワイプして進み画面下のボタンをタップしてMonitorを選びスタートします。(デバイスにより表示が少し違うかも知れませんが・・・)Accsoonではジンバルなどの商品もありこのアプリはそれらのコントロールにも対応しているようです。

CineEye 各種設定画面

最後にCineEyeモニター設定画面に付いて。撮影時に邪魔であればモニター中央をタップすればこの設定パネルは消えます。またこのパネルは主にムービー用設定なのでスチール撮影時に必要なものはFocus、Histogram位でしょうか。また映像制作に携わっている方には今更の感ありますが、少々説明します。

Waveform・映像は、輝度と色でその表現を行います。この二つをグラフで数値化し、波形として可視化したものが「ウェーブフォーム」です。白が飛びすぎていないか、黒がつぶれすぎていないか、等を判断するときに使います。

Gray・これはその名の通り彩度無しのグレイスケール表示用です。

RGB・これはRGBの各チャンネルを個別に表示する時に使います。

Focus・これはフォーカスピーキングで色とそのレベルを変更可能です。この機能はカメラにも内蔵されているものも多いのでご存知と思います。ピント合わせ用です。

False・これはフォールスカラーでモニター画面内の輝度を色に変換して表したもので画面左サイドに表示されているカラーバーに対応していて、主に露出をコントロールする時に使います。

Zebra・設定した輝度レベルの部分をゼブラパターンで表示する機能です。明るさ調整の目安に使用します。狙った被写体がどれくらいの明るさで写るのかをゼブラ機能の設定を使って確認します。白とびを防いで撮影したい場合有効な機能です。

Lut・“Look Up Table”は、あるカラースペースから別のカラースペースへの変換に用いられ、カスタムLUTは好みのルックでプレビューしたり、撮影現場でカメラモニター用に直接グレーディングするのに用いられるもので、SonyのS-logなどで収録中はそのままモニターすると非常に眠く薄いグレイのような見え方になりLutを当て見え方を補正しモニタリングします。Accsoonのアプリ初期バージョンではLut項目に何も入っていない(後から自身で読み込んで入れる)状態で最新バージョンにはCanon Log2、Fujifilm F-Log、Sony SLog3三種いずれも709相当のLutファイルが既に内蔵されているので最新バージョンをインストールすることをお勧めします。

More・一番右にあるMoreボタンはまさにモアでタップすると画面上右側にオーバーレイで種々の詳細設定画面が現れます。部分拡大など有用な機能や設定が数多く詰まっています。画面タップで出たり消えたりするので便利です。

このAccsoon CineEyeを使い始めてまだ日が浅いのでその耐久性や内蔵バッテリーの劣化の程度はわかりません。バッテリーの持ちはもう少し増やし5時間程度行けると良いのですが、小型化で難しい部分かも知れません。(長時間に及ぶ場合は給電しながら使っています)iPhoneとiPadで使いますが、iPhoneの場合表示画面はカメラ液晶より大きいですが設定画面が邪魔になるので必要な時にだけ表示させています。また、電波の到達距離は100mと言うことですが、これもテストしていないので・・・20〜30mは全く問題ないです。本体は電波発信機なので動作中は多少温度が上がります。野外で日中使用するときはデバイス側の輝度調整で輝度を上げたり、簡単な遮光フードがあると便利だと思います。


カメラの外部モニターを検討中で、スマホやモバイルデバイスを既にお持ちであれば、このAccsoon CineEyeを導入するのがローコストで良い結果が可能と思い記事を書きました。1Kmも届くHDMI/SDIトランスミッタも業務用機器として種々ありますが高価で本体も大きく(アンテナも含めて)バッテリーも別途必要で・・・。このAccsoon CineEye、中華製という部分が若干気になりますが、撮影時に使う種々の機材で最近比較的ローコストで使い勝手が良く考えられていて品質も悪くない物が深圳あたりから多く出てきています。発想とか着眼点が新しく良いのではないかと思います。ワールドワイドの環境で物創りや発想が古く観念的で、今一つ寂しい日本国内の企業が大いに気になる昨今です。

Quick-set ハスキー雲台・改造復活

Quick-set ハイボーイ雲台

記憶にないので定かではないけれど40年以上Quick-setハスキー三脚(4段仕様はハイボーイと言う名称でした)を使い続けてきた。しかしこの15年近くはほとんど使うことなく機材の棚に眠ったままで、ジッツオのカーボン三脚がメインになっていた。最近のカーボン三脚は非常に軽く携行が楽で、足の伸び縮みもクィック操作可能で使い勝手は極めて良くなってきています。(アルミの三脚は冬場、冷え切って手が凍り付く感じで、カーボンは冷えないのが良い)三脚は載せるカメラや撮影状況に応じて複数所持し運用していますが、雲台に関してはサイズや重量も含め、なめらかに動き確実に止まりなおかつ載せるカメラサイズや重量に対して幅広く対応可能なものがなかなか見当たらない。
デジタルカメラ、それも35mm一眼タイプになってからは小型でかさばらないボール雲台も数種使っていますが、ボール雲台は結局カメラ本体またはレンズを手で支えながらの操作になり、微妙な調整や動きに難があり、パン棒の付いた従来のスリーウェイ雲台の方が操作に安定感があり理想的な気がします。(パン棒は長さがあり回転の中心から離れて滑らかな操作可能で固定締め付けのトルクコントロールもしやすい)
Quick-setのハスキー雲台がこの手のオーソドックスな雲台の中で最も使い勝手が良く強度や耐久性にも優れていることは理解していたので、ほとんどお蔵入りのハイボーイ本体から雲台のみ取り外して使うことにしました。最近の三脚は足の部分と雲台が別パーツになっているものがほとんどだが、Quick-set三脚はエレベーターシャフトと雲台は一体化されたシンプルな構造。(この雲台の良さが見直されたせいか最近では雲台のみの販売も行われています。新規購入の方はこちらをどうぞ・・・)

エレベータシャフトから頭部分を分離切り離し

切り離す前によく観察すると、雲台のセンターシャフト基部とエレベーターシャフトは内部でネジ固定されているようだが、とても硬く外すのが困難なので継ぎ目あたりでカット。内部ネジ固定は緩まないように接着剤で固めてあったので、接着剤を剥がしパイプネジ内側に回転用の切り込みを入れネジ部を外して保管。(使う事ないが万が一戻す時に必要)ゴムリングとスプリングワシャーはエレベーターシャフトが下まで下がった時の衝撃吸収ストッパーのパーツです。

センターシャフトと回転ドラム

単独の雲台として使用するためセンターシャフトに3/8wインチ(太ネジ)のジョイントナット長さ5センチをアルミ丸パイプをかませて打ち込み、三方からネジで完全固定。さらに雲台を回転させた時にネジの頭が当たらないように研磨した。このセンターシャフトとそれを受ける回転ドラムはスチール製でメッキ処理されている。回転ドラムは十分な厚みがあり耐久性と強度、スムースな動きを可能にしている。
上の写真から解るようにセンターシャフトの回転固定は背面が回転ドラムの内側で支えられたアルミ製の二個の駒が左右からテーパー状に挟み込み締め上げる構造で、横ぶれなどなくスッと確実に回転を抑え込む優れた構造になっている。

Quick-set 雲台の全パーツ

上の写真が雲台のパーツ全てで、本体と言うかフレーム本体はアルミ鋳造品で表面の仕上げなどあまり気にしないアメリカ製らしいラフなものだが長年の使用で塗装が剥げ落ちていたので再塗装しました。写真では下向きになっているトッププレート部分は大きいカメラを載せるため長細くなっていたので1センチほどカット。側面部分も妙な台形をヤスリで垂直に整え、カメラを止めるネジ穴もほぼ中心に揃えて3/8wであけ直しました。

Quick-set 回転止め部分

メッキ処理されたスチール製の肉厚回転ドラムが収まるリング状の部分ですが、操作棒(パン棒)の先端に真鍮製の斜めにカットされた駒が見えます。これがパン棒を少し回転するだけでテーパー状にスライドして回転ドラム外周に当り、がたつきもなくスッと確実に回転を止める構造になっています。金属の剛性と性質を巧みに利用したCuick-setの物作りには感心するところありです。
50年近く昔の製品でアルミのメッキ部分に多少剥がれがある程度で壊れた部分やへたりや摩耗は皆無、これは当時の直輸入品ですが現在は国産化さてパーツ供給も問題ないようです。フリーの状態でスムースに微妙な動きが可能でそのままブレもズレもなくスッと確実に強力固定できる、なおかつ相当な重量級の機材でも難なくこなせる雲台を探している方は是非一度このQuick-setを試してみる価値あると思います。(当時のトレードマーク赤い矢印は今はないようですが国産のハスキー雲台で商品化されています)

ハスキー雲台に興味ある方が多いようで、色々ご意見いただきました。改良刷新して便利に使用していますが、種々の三脚ないしカメラスタンドに取り付ける部分の説明がなかったので追記します。まずはそのコンパクトでシンプルな構成をGITZO G1371Mと比較したのが下の写真です。

改造ハスキー雲台とGITZO G1371M

上の写真「センターシャフトと回転ドラム」でお分かりのようにセンターシャフトにW3/8インチのジョイントナット長さが50mmの物を頭を7mmばかり残し円筒形に削り(ナットの角を取る)密着度を高めるためアルミパイプを噛ませて打ち込みました。硬い木製の台座ワッシャー(厚み8mm)を噛ませて三脚などに固定します。三脚などの雲台取り付けネジは一般的に大ネジと言われるW3/8インチ(約9.5mm)が標準的なのでこれで問題なしです。

三脚など取り付け詳細