蘇る天平の技 加藤 萌 乾漆技法作品

両国にある回向院(寺)で行われた漆芸家 加藤 萌 個展に行って来ました。(2026.4.10~4.20)なぜこの作品展開催を知ったかと言うと学生時代からの旧友が会場の照明設備を手がけたと言う事で個展の案内が届き、展示作品はもとより、どんな空間でいかように照明が施されているかも見たいと言う思いがあった。

回向院大広間展示会場写真
回向院大広間の展示会場

寺の畳敷大広間は檀家の会議や仏事などに使う目的で、ギャラリーや展示スペースではないので上の写真からも分かるように畳敷の大広間を暗幕で区切り天井付近にワイヤーを引き、作品の置き場所に適宜オリジナルの照明を吊りダークな背景から作品を浮立たせる。周囲の暗幕に沿って畳の上に灯籠の如く照明を置き夜の日本庭園ようなしっとりした空間が演出されていた。友人(照明デザイナー)の仕事は見事であった。

乾漆技法の作品に初めて出会った。

今回、個展『すみなすもの』と題した展示作品は独特の色彩とディテールを持った主に動物をモチーフにした立体造形作品で、昨今の彫刻作品と違い極めてリアルな表現部分と漆の持つ艶やかな部分が合体した今まで見た事のないものであった。

睨みつけ動き出しそうな豹 自作ビューカメラにてスタジオ撮影

 

踞るうさぎ 自作ビューカメラにてスタジオ撮影

乾漆技法を調べてみた。

独特のリアルな質感と生々とした表情をもつ作品に出会い、その成り立ちや構造を調べてみたいと思った。作家の加藤 萌さんは東京芸大大学院漆芸専攻終了なので漆に関してはエキスパートだと思うが、作品を見て乾漆技法とはどのような技法なのかと思い、調べてみるとなんと天平時代、興福寺(奈良市)の阿修羅像が同様の技法で作られていた。当時の中国から伝えられた技法で奈良時代以降は木彫が主流となったと言う。

加藤 萌さんの作品はリアルで生々しい部分と漆そのもので表面まで覆った艶やかな部分との合体と言う独自の表現で、見るものを美しくも不思議な世界へ誘う。乾漆技法を使いこのような作品を仕上げるのは、相当の時間とエネルギーが必要と思うが、今後も魅力的な作品展開を期待したいと思う。

眠り込む狐 会場にて撮影 a7r3 FE4/24-105G

 

朽ちた木に留まるフクロウ 会場にて撮影 a7r3 FE4/24-105 G

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