フォトグラファー宍戸眞一郎のブログサイトです。

月: 2018年1月 (page 1 of 1)

Sony a7 Handmade view camera_改良編

リアスタンダード改造

Sony α7シリーズの使用をベースにビューカメラを自作した件はこのブログに書きましたが、フロント部分(レンズを載せるフロントスタンダード)はリンフォフの機構をそのまま移植した形なので精度、操作性、耐久性など問題なかったのですが、リヤのカメラ本体を載せる土台となる(リヤスタンダード)部分はアオリ機構(スィング)は最初から諦めていましたが、左右と上下にスライドする機構は(ライズ、フォール、左右シフト)最低限必要なので、アルミ部材で自作しましたが強度、耐久性、操作性、精度などに使っていて問題があり、まず左右スライドするベースの外側部材の噛み込み部分の部材を少し大きくして強度を上げ揺れやガタが出ないよう調整し、ストッパーネジも新たに作り組み込みました。

上下にカメラ本体をスライドさせる部分はスムースに動き可動範囲も十分にあり、なおかつどの位置でも確実にズレがなくカッチリ止まる必要があり、アルカスイス規格のクックリリースクランプとプレートを使う事にしました。

sunwayFOTOのDDC-60Lクランプ(長さ60mmのノブタイプ)をベースにネジ固定し、それにDPG-76プレート(長さ76mm)を挟み込みスライド固定する仕様です 。

DPG-76プレートとカメラマウント

プレートは不要分をカットしてカメラプレートの下側を受けるアルミ製の刃を作り二本のネジで固定、カメラプレートの下側を斜めに切り落とし刃の部分に差し込み上方でネジ固定して一体化させる構造です。(DPG-76プレートの溝幅とカメラプレートの幅をピッタリ合わせてあるので一本のネジで強固に一体化できます)
これで他の種類のカメラ本体をマウントする必要がある時もカメラプレートのみ用意すればOKとなり、精度、操作性、強度も上がり、小型view cameraとしてより実用性も上がり安心して使えるものになりました。実用上問題なく動かせる範囲は上下35mm~40mm、左右シフトはそれぞれ30mmありますが使用するレンズのイメージサークルを考えると、それぞれ半分くらいあれば十分な気もしますが・・・

動きのスライドショー

Sony α7シリーズをベースにビューカメラを自作した件はこのブログに書きましたが、今回はカメラをマウントするリアのスタンダード部分の改良なので、前回はフロント部の動きを主に紹介しましたが、後ろ側(カメラ側)から見た動きの変化をスライドショーでご覧下さい。各動きは約2Cm位ですが4×5判のレンズなどでは十分にカバーできる範囲です。残念ながらリアのスゥイングやティルトは構造が複雑になり精密な工作機械も必要になるので、まだ実装していませんが今後の課題です・・・??

 

Quick-set ハスキー雲台・改造復活

Quick-set ハイボーイ雲台

記憶にないので定かではないけれど40年以上Quick-setハスキー三脚(4段仕様はハイボーイと言う名称でした)を使い続けてきた。しかしこの15年近くはほとんど使うことなく機材の棚に眠ったままで、ジッツオのカーボン三脚がメインになっていた。最近のカーボン三脚は非常に軽く携行が楽で、足の伸び縮みもクィック操作可能で使い勝手は極めて良くなってきています。(アルミの三脚は冬場、冷え切って手が凍り付く感じで、カーボンは冷えないのが良い)三脚は載せるカメラや撮影状況に応じて複数所持し運用していますが、雲台に関してはサイズや重量も含め、なめらかに動き確実に止まりなおかつ載せるカメラサイズや重量に対して幅広く対応可能なものがなかなか見当たらない。
デジタルカメラ、それも35mm一眼タイプになってからは小型でかさばらないボール雲台も数種使っていますが、ボール雲台は結局カメラ本体またはレンズを手で支えながらの操作になり、微妙な調整や動きに難があり、パン棒の付いた従来のスリーウェイ雲台の方が操作に安定感があり理想的な気がします。(パン棒は長さがあり回転の中心から離れて滑らかな操作可能で固定締め付けのトルクコントロールもしやすい)
Quick-setのハスキー雲台がこの手のオーソドックスな雲台の中で最も使い勝手が良く強度や耐久性にも優れていることは理解していたので、ほとんどお蔵入りのハイボーイ本体から雲台のみ取り外して使うことにしました。最近の三脚は足の部分と雲台が別パーツになっているものがほとんどだが、Quick-set三脚はエレベーターシャフトと雲台は一体化されたシンプルな構造。(この雲台の良さが見直されたせいか最近では雲台のみの販売も行われています。新規購入の方はこちらをどうぞ・・・)

エレベータシャフトから頭部分を分離切り離し

切り離す前によく観察すると、雲台のセンターシャフト基部とエレベーターシャフトは内部でネジ固定されているようだが、とても硬く外すのが困難なので継ぎ目あたりでカット。内部ネジ固定は緩まないように接着剤で固めてあったので、接着剤を剥がしパイプネジ内側に回転用の切り込みを入れネジ部を外して保管。(使う事ないが万が一戻す時に必要)ゴムリングとスプリングワシャーはエレベーターシャフトが下まで下がった時の衝撃吸収ストッパーのパーツです。

センターシャフトと回転ドラム

単独の雲台として使用するためセンターシャフトに3/8wインチ(太ネジ)のジョイントナット長さ5センチをアルミ丸パイプをかませて打ち込み、三方からネジで完全固定。さらに雲台を回転させた時にネジの頭が当たらないように研磨した。このセンターシャフトとそれを受ける回転ドラムはスチール製でメッキ処理されている。回転ドラムは十分な厚みがあり耐久性と強度、スムースな動きを可能にしている。
上の写真から解るようにセンターシャフトの回転固定は背面が回転ドラムの内側で支えられたアルミ製の二個の駒が左右からテーパー状に挟み込み締め上げる構造で、横ぶれなどなくスッと確実に回転を抑え込む優れた構造になっている。

Quick-set 雲台の全パーツ

上の写真が雲台のパーツ全てで、本体と言うかフレーム本体はアルミ鋳造品で表面の仕上げなどあまり気にしないアメリカ製らしいラフなものだが長年の使用で塗装が剥げ落ちていたので再塗装しました。写真では下向きになっているトッププレート部分は大きいカメラを載せるため長細くなっていたので1センチほどカット。側面部分も妙な台形をヤスリで垂直に整え、カメラを止めるネジ穴もほぼ中心に揃えて3/8wであけ直しました。

Quick-set 回転止め部分

メッキ処理されたスチール製の肉厚回転ドラムが収まるリング状の部分ですが、操作棒(パン棒)の先端に真鍮製の斜めにカットされた駒が見えます。これがパン棒を少し回転するだけでテーパー状にスライドして回転ドラム外周に当り、がたつきもなくスッと確実に回転を止める構造になっています。金属の剛性と性質を巧みに利用したCuick-setの物作りには感心するところありです。
50年近く昔の製品でアルミのメッキ部分に多少剥がれがある程度で壊れた部分やへたりや摩耗は皆無、これは当時の直輸入品ですが現在は国産化さてパーツ供給も問題ないようです。フリーの状態でスムースに微妙な動きが可能でそのままブレもズレもなくスッと確実に強力固定できる、なおかつ相当な重量級の機材でも難なくこなせる雲台を探している方は是非一度このQuick-setを試してみる価値あると思います。(当時のトレードマーク赤い矢印は今はないようですが国産のハスキー雲台で商品化されています)

ハスキー雲台に興味ある方が多いようで、色々ご意見いただきました。改良刷新して便利に使用していますが、種々の三脚ないしカメラスタンドに取り付ける部分の説明がなかったので追記します。まずはそのコンパクトでシンプルな構成をGITZO G1371Mと比較したのが下の写真です。

改造ハスキー雲台とGITZO G1371M

上の写真「センターシャフトと回転ドラム」でお分かりのようにセンターシャフトにW3/8インチのジョイントナット長さが50mmの物を頭を7mmばかり残し円筒形に削り(ナットの角を取る)密着度を高めるためアルミパイプを噛ませて打ち込みました。硬い木製の台座ワッシャー(厚み8mm)を噛ませて三脚などに固定します。三脚などの雲台取り付けネジは一般的に大ネジと言われるW3/8インチ(約9.5mm)が標準的なのでこれで問題なしです。

三脚など取り付け詳細